幕内優勝22回を数え、相撲ファンの心に残る多くの名勝負を繰り広げた横綱・貴乃花。そんな「平成の大横綱」に、好角家としても知られる人気モデル・市川紗椰が、休場から復帰する横綱の心境、3月場所の見どころについて聞いた。
市川: 3月場所は2横綱が復帰予定です。貴乃花さんも長い休場(2001年~2002年、7場所連続)がありましたが、復帰時は緊張しましたか?
貴乃花:初日は緊張しましたね。土俵上ではもう1人の自分が上から見ている感じでした。ただ同時に、やっと帰ってこれたという感謝の思いがありました。当時は30歳、年齢的に集大成だから重圧はなかったですね。
市川:力士のどんなところを見ると良いとか、オススメはありますか?
貴乃花:四股の踏み方ですね。ただ足を高く上げるのがいい四股ではありません。膝に推進力があり、おへその下、丹田をいかに使っているか。いい四股が踏めている力士は調子がいいです。
市川:注目力士は?
貴乃花:私が教えた十両の貴健斗は四股が綺麗です。集中力を高めていったら面白い存在になるでしょう。
市川:楽しみですね。
貴乃花:後進が育つのは嬉しいものです。私は今、「一般社団法人貴乃花道場」を立ち上げてちびっこ相撲を通して子供に“土の文化”を伝えています。子供だけでなく、ぜひ大人や女性にも相撲の良さ、日本の伝統の良さを知ってもらいたいですね。
【プロフィール】
貴乃花光司(たかのはな・こうじ)/1972年生まれ。東京都出身。第65代横綱。生涯戦歴は794勝262敗、幕内優勝22回。三賞受賞は殊勲賞4回を含む9回。引退後は一代年寄・貴乃花として日本相撲協会の要職を務め、2018年10月に退職。現在は一般社団法人貴乃花道場を立ち上げ、相撲の普及・発展活動を行なっている。
【プロフィール】
市川紗椰(いちかわ・さや)/1987年2月14日生まれ。愛知県出身、米国・デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。身長168cm。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』(集英社刊)が好評発売中。
取材/鵜飼克郎 撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2021年3月19・26日号