誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない“夢の馬券生活”。競馬を題材とした作品も手掛け、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する作家・須藤靖貴氏が、夢の3連単が持つ魔力についてお届けする。
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迫力がないのである。私の生きざまのことではなく、馬券に。気合いを入れて馬柱を検討し、パドック返し馬を凝視して的中に至っても、払い戻しにもうひとつ破壊力がない。低リターンを承知で券種を選んだから仕方ないのだが。
迫力を辞書で引くと「それに接するものの心を強く捕えて離さないほどの激しい緊迫感」(新明解)とある。ううむ。「複勝8倍もついた」とか「ワイド3000円」とか、悪くはないけどね。
「的中馬券に接する私の心を強く捕えて離さないほどの激しい歓喜」とは? デカい3連単的中しかない! そう思い至ったのである。
人気薄を含む3連単を的中させた知人は「確定を待つまでの高揚感、幸福感といったら」と恍惚の表情。直後の激しい歓喜に落涙までした。大のオッサンのメンタルを破壊するほどの迫力である。
私はこれまで、3連複でさえほぼスルー。3連単など検討すらしなかった。だが今は上位3頭を当てる馬券がほぼ主流。背を向けてはいられない。他のコケた分をかっさらってやる、の意気である。
季節も変わるし、そろそろネット競馬一周年だし、発想を大きく変える。土日に迫力をチャージする。当たりもしないうちから目線が上がるところに人間的欠陥があるわけだが、欠陥よりも迫力だ。わが50代後半は光り輝いている!
というわけで急激に3連単の人となった。とりあえず10万馬券を目指そう。
馬券の買い方には「フォーメーション」「2頭軸マルチ」など戦略がある。まずは3連単入門にお薦めなる「5頭ボックス」。これはという馬5頭の全組み合わせ60点、マーク方法も実に簡単。精選5頭のうち3頭が入れば的中だ。泣き所はどうしても買い目が増えてしまう点で、最低でも6000円。