もはや家族として離れることができない存在の「ペット」。首都直下地震や南海トラフ地震など、大きな地震がいつ起きてもおかしくないと言われている日本では、ペットの命を守るために、準備をしておく必要がある。ペットを飼う人間の責任として、知っておくべき知識や、やっておくべき対策を紹介する。
しつけは最低限の準備
宮城県仙台市の自宅で3匹の愛犬とともに被災し、現在は保険などのペット関連サービスを提供する会社アニコム ホールディングスに勤務している野地雄太さんはこう話す。
「避難所に向かう車の中、うちのゴールデン・レトリーバーはずっと吠え続けて、コントロールができませんでした。さらにもし噛みぐせがあったら……。飼い主はもちろん、ほかの被災者にもけがをさせる恐れがあります。そうならないためにも、日頃からしつけを行い、社会性を身につけておくことが大切だと実感しました」(野地さん・以下同)
しつけをしていても興奮状態だということを聞かないこともあるが、繰り返し命じることで、犬もこちらの命令を思い出し、おのずと落ち着く。犬にもしつけという名の“防災訓練”が必要なのだ。
「避難しやすいようキャリーケースに慣らしておくことと無駄吠え防止、トイレマナーは必ず覚えさせましょう」
ハーネスタイプのリードが大活躍!
災害直後、道路にはがれきやガラスの破片などが大量に落ちている。外を一緒に歩く際は、靴を履かない犬がけがをしないよう注意が必要だ。
もし愛犬を避難所まで徒歩で連れていくつもりなら、犬用の靴下を用意しておいた方がいい。けがをしても獣医にかかる余裕はないので、なるべく危険は避けよう。
「震災後しばらくは余震も続き、散歩も気軽にできなくなるので、外でしかトイレをしない子は、家の中でもトイレができるよう練習しておいた方がいいと思います。個人的にあってよかったと思ったのは、ハーネス(胴ベルト)タイプのリード。足元が危ない道を散歩させるとき、首輪タイプより、ハーネスタイプの方が制御しやすいからです」