芸能活動の展望を語った元貴乃花親方の長男・花田優一氏は、自信や信念の原点は「特殊な家庭環境にあった」という。大横綱の家庭に生まれ育った境遇は彼にどんな影響を及ぼしたのか。優一氏が知られざる幼少期のエピソード、いま家族に対して思っていることを語った。
* * *
「僕の一番の財産は、到底たどり着けないことを成し遂げた父のもとで育ったこと。何かを成し遂げるのに必要不可欠な考え方や人生を、僕は常識として持っています。その中で、大きな教えの一つは、“世間が何と言おうと、絶対に自分にはウソをつかない”ということです。世間全員が敵になっても、自分だけは信じた道を突き進むこと。親父から一番学んだのは、こういうことです」
だが、偉大な父のもとで育つことは、必ずしも良いことばかりではなかったという。
「家族以外の人には、ほとんど共感はしてもらえない。孤独感のなかで戦うしかないと思っています」
長男であることや、同じ境遇で育った仲間がいないため、誰かに何かを相談することがしにくかった。良くも悪くも、常に周囲から注目を浴びるため、純粋な目で人を見ることができなくなった。
「良い人のふりをして悪い人が近寄ってくる。この家に生まれて苦労したことがあるとしたら、人を信用できないことですね。小学校や中学校の教室では、千秋楽で父が優勝したら神の子のように崇められる。そうかと思えば、メディアで両親が批判されると、今度はいじめられる。生まれた時からずっとそんな環境なので、誰のことも心からは信用できなくなりました」
両親の間に不和があっても、それを簡単に外に漏らすわけにはいかなかった。
「素晴らしい華やかな家庭と見られることもありましたが、家のなかは、世の中の一般的な家と何も変わらないんです。家族のなかで、色々あることもあります。それでも、家の外では気丈に何もないかのように振る舞わなくてはいけない。この家族の宿命だと思っています」
世間からちやほやされることもあれば、逆風にさらされることもあった優一氏。結果的に、特異な人生観を持つようになった。