東日本大震災から10年の時を経た。日本列島はこれからも、首都直下地震や南海トラフ地震など、いつ巨大地震が起きてもおかしくないと言われている。国際災害レスキューナースの辻直美さんはこう語る。
「被災経験を踏まえ、年々防災の常識が変わっています。常に新しい知識を入れて、いざというときのための対策を練りましょう」
そこで、令和時代の防災新常識をお伝えしよう。
◆避難所には、まず入れないと思え!
「避難所の数は、全国的に足りていません。さらに新型コロナウイルス対策により、想定収容人数が、これまでの3分の1以下に。今後は、避難所に入れないことを想定して備えることが大切。在宅避難だけでなく、親戚や知人宅、ホテルなどの宿泊施設、車中泊避難、テント泊避難など、避難先の候補を複数用意しておくと安心です」(辻さん・以下同)
◆キッチンからとにかく離れろ!
家の中で最も危険な場所はキッチンだ。なぜなら、包丁やはさみなど、地震時に凶器となるものが多いからだ。
「菜箸が飛んできて体に刺さった話も聞きます。平時から、重い鍋や刃物は引き出しにしまっておきましょう。調理器具を出しっぱなしにする?見せる収納?はおしゃれですが、防災面ではおすすめできません」
◆これからの防災標語は「よ・い・こ」
かつて学校の避難訓練などで、防災標語として「おさない」「かけない」「しゃべらない」の「おかし」を習った人も多いと思うが、これはもう古い。
「私がおすすめするのは『よく見る』『いそいで逃げる』『声をかける』の『よいこ』。状況をよく見て、すみやかに、周囲に声をかけながら逃げることが大切です」