全国の高校野球ファンが待ちわびたセンバツ高校野球大会が、3月19日にいよいよ開幕を迎える。昨年はコロナ禍で中止となり、2年ぶりに聖地で熱戦が繰り広げられる。開幕を心待ちにしてきた高校野球大好き芸人・かみじょうたけし氏が、活躍すると期待している全国の名門校のスター候補をピックアップしていく(学年は新年度のもの)。
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待ちに待った選抜高校野球の開幕です。豊作といわれる今年の高校球児のなかから、僕が注目する選手を紹介していきたいと思います。
まず、大会屈指の好カードとなった大会4日目の第2試合、智弁学園(奈良)対大阪桐蔭(大阪)は、昨秋の近畿大会決勝のカードでもあり、この試合の勝者が最も紫紺の大旗を手にする可能性が高いのではないでしょうか(これは高校野球ファンなら誰もがする予想ですね)。
近畿王者である智弁学園には、僕が2年前の夏から注目する左腕・西村王雅(おうが)投手(3年)がいます。1年生の頃から、バックを守る3年生に“上から目線”の身振り手振りで指示する姿が印象に残っています。ある試合の終盤で、小坂将商監督が打席に入る西村投手に代打を送ろうとしたシーンがありました。西村投手はよほど降板したくなかったのか、手袋をしないままバットを持って打席に入ったんです。交代を告げられそうな空気を察して、なりふり構わず打席に向かったんですね。
この時は小坂監督から「お前だけのチームではないんだ」とこっぴどく怒られたそうですが、今どき、こういうハート強い系の投手はなかなかおらんでしょ。僕が熱烈に応援している東北楽天の松井裕樹投手の桐光学園時代を彷彿させる立ち居振る舞いでもありました。
そんな彼も、2年生になった昨夏の交流試合では、中日ドラゴンズに1位指名された中京大中京の高橋宏斗投手と投げ合い、サヨナラ負けを喫しました。試合後、投球内容を記者から問われた西村投手は「僕のピッチングなんかどうでもいい。チームを勝たせられるピッチャーになりたいです」と答えた。野球面でも精神面でも大きく成長していました。150キロに迫るような直球はありませんが、130キロ台後半から140キロ台前半のキレのあるボールを投げ、球速表示以上に打者は速く感じるのではないでしょうか。
交流試合の数日後、西村投手の様子が気になって、僕は智弁学園のグラウンドに足を運びました。すると、野球部ではなく、陸上部に混じって長い時間ランニングし、その後は砂場でひとり、延々と下半身をいじめ抜いていた。練習後、「高橋さんを超えられるようなピッチャーになりたいです」と話してくれましたが、彼は相手が強ければ強いほどワクワクして自分の力を引き出せる、ドラゴンボールの孫悟空のような投手ですね。
智弁学園にはもうひとり、小畠一心投手(3年)というU-15侍ジャパンを経験している右腕もいますし、打者には1年夏から4番を打っている左の大砲・前川右京選手(3年)がいます。
一方、大阪桐蔭には左の松浦慶斗投手(3年)、右の関戸康介投手(3年)という、共に150キロを超える直球を投げる豪腕投手が揃います。しかし、あえて僕が注目したいのは、センターを守る主将の池田陵真選手(3年)。まず、彼の太もものように太い上腕二頭筋をチェックしてみてください。身長は172センチと小柄ですが、とにかく分厚い鎧をまとっていて(体重は82キロ)、パンチ力が魅力です。