不安を煽るわけではないが、事実にはきちんと向き合った方がいい。新型コロナウイルスのワクチン接種が国内で始まり、1か月が経って判明したのは男性より女性にリスクがあるということだった。ワクチンを接種する前に、きちんとその性質を理解したい。
いま女性の医療従事者の間では、新型コロナワクチンの「効果」ではなく、「副反応」の話で持ちきりだという。都内の医大病院に勤務する30代女性看護師が語る。
「コロナのワクチンを接種すると『不妊症になる』という噂が看護師仲間の間で出回っていました。それはデマだとわかってホッとしましたが、女性ばかりに副反応が出るというのは本当らしい。それでも私はメリットを優先して近日中にワクチンを接種する予定ですが、少し心配です」
一方、都内の私立病院に勤務する20代女性看護師の意見は異なる。
「世界的に見ても、女性は副反応の被害が出る割合が高いことは明らかですよね。だから私はワクチンを打たないことにしました」
新型コロナを食い止める最後の希望として期待されるワクチン。しかし現実に起きた健康リスクに対しては、適切な検討がなされるべきだ。女性の副反応が多い現実を、どう考えるべきか──。
37人中35人が女性
2月17日から、国内でも新型コロナのワクチン接種が始まった。気になるのが副反応だ。厚労省によれば、3月11日午後5時までに国内で接種を受けた18万741人の医療従事者のうち、副反応の一種であるアナフィラキシーショックが報告されたのは37人。4900人に1人の割合となる。
海外では、アメリカが「20万回に1例」の頻度(1月18日まで)、イギリスでは「10万回に1~2例」の頻度(1月24日まで)との報告もあり、3月10日、田村憲久厚労相は日本の現状について、「(日本は)少し高めに出ている気がする」と発言した。副反応のアナフィラキシーとはいかなるものか。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが指摘する。
「アナフィラキシーとは、ワクチンの成分に対する急性のアレルギー反応のこと。ワクチンなどの異物が体内に入ることで『有害な物質だ』と自分の体の免疫が過剰に反応して攻撃しすぎる結果、逆にマイナスの症状が引き起こされることをいいます。
症状としては、接種して数分から数時間の間に生じる、全身性の皮膚症状や喘息、呼吸困難などの呼吸器症状、動悸や血圧低下などの循環器症状、腹痛や嘔吐などの消化器症状などがあります」
実際に国内では、3月5日にワクチン接種を受けた30代女性が接種後5分以内にせきが出て呼吸が速まり、まぶたの腫れや全身のかゆみなどの症状がみられた例があった。