燃え広がる一方の長男接待騒動にコロナワクチン接種や緊急事態宣言解除など問題山積の菅政権。安倍政権時代に危機管理を一手に担っていた「女房役」は、自分が主役になると支えてくれる人が誰もいないことに気づいたようだ。安定感を失い、周囲を巻き込む“ご乱心”ぶりを発揮し始めた。
官邸内が、接待問題の情報をリークした犯人捜しでピリピリする中、自民党内でも菅義偉・首相の神経を逆なでするような不穏な動きが始まった。
さる3月初旬、議員会館の自民党議員の事務所ポストに1通の文書(A4判1枚)が投げ込まれた。
受け取った議員からは「政局の幕開け」「菅おろしの序章じゃないか」と波紋が広がっている。
文書の差出人は〈総選挙前に党則第6条第1項(総裁公選規程)に基づく総裁選挙の実施を求める会〉となっているが、代表者も連絡先も書かれていない。いわゆる怪文書の類いだが、内容は、菅首相を批判するわけでも、総裁公選規程にある「総裁リコール」を呼びかけるものでもない。
〈衆議院議員は、今年の10月21日に任期満了を迎えるため、今年中に総選挙が行われることになります。また、自民党総裁も9月30日で任期満了となります〉
冒頭に国会議員なら誰もが知っていることが書かれ、9月5日に東京五輪が閉会した後の政治日程案が、
9月7日 自民党総裁選挙告示
9月20日 総裁選挙投開票日(総裁決定)
9月22日 首班指名
9月27日 解散
10月24日 総選挙投票日
などと表にまとめられている。
さらに10月21日の衆院の任期満了まで臨時国会を開き、その日に衆院を解散した場合は「11月28日投開票」が〈公職選挙法で認められる最も遅い総選挙の日程〉と指摘されている。
これがなぜ、“菅おろし”と受け止められているのか。
自民党内には、支持率低迷中の菅首相による解散・総選挙を恐れる空気が強い。それを物語るのがポスター問題だ。