フジテレビが久しぶりにゴールデン帯でお笑いバラエティ番組を立ち上げる。4月からチョコレートプラネット、霜降り明星、ハナコの3組による『新しいカギ』が金曜20時台にスタートする。テレビ局関係者が事情を打ち明ける。
「昨年、個人視聴率が本格的に導入され、テレビ局は全体的に若い層にターゲットを戻している。そのため、フジはかつての得意ジャンルだった若者向けのバラエティを新設した。フジは13~49歳男女を『キー特性』と呼び、彼らの個人視聴率を重視している。その物差しだと、全日(6~24時)、ゴールデン(19~22時)、プライム(19~23時)の3部門で1月、2月ともに日本テレビに次いで、2位につけています。4月の改編で、さらに勢いをつけたいという狙いです」
フジは2012年に全日帯、ゴールデン帯、プライム帯で世帯視聴率3位に沈んで以降、浮上できていない。昭和後期や平成初期、あれほど人気のあったフジはどうして低迷したのか。
「2000年代後半くらいから、黄金期を支えてきた制作者たちが続々と独立や定年退職をしたり、他部署や関連会社へ異動したりして、伝統が受け継がれなくなった。今のバラエティ班にも『とんねるずのみなさんのおかげです』『めちゃ2イケてるッ!』を作ってきたテレビマンはいますが、視聴率の良かった頃を知る人はあまりいない。それが、『新しいカギ』の不安要素でもあります」
『新しいカギ』は今年1月3日に特番が放送され、若者を中心に好評だったため、レギュラー化したという。かつてのフジの人気バラエティ『とんねるずのみなさんのおかげです』や『ダウンタウンのごっつええ感じ』は数回の特番を経て、レギュラーに昇格した。回数自体はさほど変わらないが、とんねるずは『ねるとん紅鯨団』、ダウンタウンは『夢で逢えたら』というフジの深夜帯で高視聴率を獲得していた実績がある。
「1回の特番でレギュラー化は、時期尚早かもしれません。しかも特番には、ゲストに木村拓哉や新庄剛志などが出ていて、プレミア感もあった。かつてのフジは深夜枠で試してから、ゴールデンに昇格させていた。土曜20時の『めちゃ2イケてるッ!』の前には『とぶくすり』『めちゃ2モテたいッ!』などがあったし、水曜20時の『はねるのトびら』の前には『新しい波8』があった。今はそんな余裕がないのでしょう」