北朝鮮の若者の軍離れが加速している。かつては兵役を終えると同時に朝鮮労働党に入党することができたが、金正恩体制になってからは、軍役を終えても、党員になるのが難しくなっているためだという。さらに、軍は給料が安くて、経済的にメリットがないことも理由になっている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
朝鮮人民軍は現在、約130万人の兵員数を擁しており、規模的には中国、インド、米国に次ぐ世界第4位だ。これは人口比から見ると世界一で、20人に1人が兵士となる計算だ。北朝鮮の場合、性別に関係なく徴兵検査を受けなればならないことや、兵役の適用年齢が17歳から49歳までと幅広いことも関係している。
これまでは兵役を経験することが朝鮮労働党への入党の必須条件だったが、金正恩体制になってから、党員になる条件が厳しくなっており、10年間の兵役を終えても、党員になれないことの方が普通になってきている。
北朝鮮の場合、党員であるかどうかは、住居や就職、教育など生活全般に大きく影響する。
朝鮮労働党の党員は約300万人と推定されている。朝鮮労働党の党員数は、北朝鮮の人口約2200万人のおよそ7分の1を占める。北朝鮮では、公職や企業・団体において要職につくためには党員であることが必要とされる。
かつては党員の約90%が兵役を経験していたが、最近では兵役経験者の党員全体の比率は約70%にまで減っているという。
厳しい訓練のほか、給料も安く、さらに党員になれないとの「3悪」がそろっているため、若者の間で懲役忌避の傾向が強まっている。具体的には徴兵検査の健康診断で落ちることが、最も合理的な方法だという。