夫婦のどちらかが先に亡くなった場合、“妻を亡くした夫”の方が、より大きなショックを受けるとよく言われる。実際に妻に先立たれた夫たちは、悲しみとどう向き合ってきたのだろうか。
フリーアナウンサーの清水健さんと妻の奈緒さんは、2013年に結婚。約1年後に子供を授かり、幸せの絶頂にいた。だが、その直後に乳がんが発覚。「3人で生きる」選択をし、「産みたい」「がんを治したい」という二人の思いを受け止めてくれる乳腺クリニックを見つけた。
「その年の5月7日に検査結果が出て、結婚記念日の19日に入院。20日に手術。リンパへの転移は見られないと言われましたが、息子を出産した後の検査で転移がわかり、抗がん剤治療などの闘病の末、2015年2月11日に亡くなりました」(清水さん・以下同)
結婚生活は1年9か月。ママになって112日、まだ29才の若すぎる生涯だった。今年の2月、七回忌法要を終えた。
「当時を思い出すと、まだまだいろんなことができた、もっと妻の気持ちに寄り添えたのではないかと、後悔ばかり。でも、本当にいなくなったということを、受け止められるようになりました。かっこ悪い話ですけど、やっとです」
シングルファーザーになった当初は、仕事も子育ても、何もかも、しっかりしなきゃと頑張りすぎていた。
「身近な人にはかっこつけて、自分がつらくて悩んでいるとは言いたくなくて、自分で勝手にバリアを作っていた。まわりの人たちはぼくにどう接すればいいのか、悩んでいたと思う。同じような経験をされた人が悩んでいたら、ただ、近くにいて『ひとりじゃない』ってことを気づかせてあげられればいいと思います。ぼくも、周囲の思いに気づくことができて、救われましたから」