ギャップ萌え、といった言葉があるが、最終的に重要なのはやはり「バランス感覚」なのかもしれない。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。
* * *
ドラマが続々と最終回を迎えている今。次期にスタートする新ドラマへと関心は向かいます。中でも期待を膨らませてくれる一人の女優さんがいます。その人とは……『着飾る恋には理由があって』(TBS系火曜午後10時)で主役を演じる川口春奈さん。
最近の川口さんといえばNHK大河ドラマ『麒麟がくる』で注目が集まった。麻薬取締法違反容疑で逮捕された沢尻エリカさんの代役として急遽、織田信長(染谷将太)の正室・帰蝶役として白羽の矢が。しかし川口さんは大河ドラマが初めてで活躍できるかどうかは未知数でした。
いったん着物姿で登場すると堂々としたふるまいが川口さんの評価を高めていきました。特に信長を支えかつ的確な判断を下す帰蝶の姿がまるでプロデューサーの風体で、「帰蝶P」という愛称まで生まれた。それもこれも、川口さんの落ち着きぶりによるものでしょう。結果としてこのキャスティングは大成功と相成りました。
さらにユニークなのは、川口さんが単に正統派女優としての階段を上っているだけではない、ということです。敢えて「美形女優」が持つイメージをぶっ壊す?というか、ひっくり返す行動を選ぶユニークさ。YouTube「はーちゃんねる」ではスッピンで出てきて顔を洗ったり髪の毛をアレンジしてみたり、部屋着で一人飲みしたりマッサージしたり魚をおろしたり。あまりのフラットさが新鮮で今や126万人もの登録者を獲得しています。もちろん背後に優秀なブレーンの存在もささやかれていますが、いずれにせよwebを今風に使いこなしている賢さがある。
「はーちゃんねる」を見ると、ご本人がかなり天然なキャラであることがよくわかるのですが、しかし、「美人女優」と「素をさらす」という両極端を刺激的に見せているだけに留まらないのが川口さんの独特なポイントと言えるでしょう。