巣ごもり生活が続き、家で楽しめることを探している人々が多いなか、2万7500円の魚焼き器『大人の焼魚 炭グリル』(オークス)が人気だという。炭火で焼いたような“本格的な”焼魚ができるというこの商品はどのようにして生まれたのだろうか。
オークスではもともと、ガスコンロやIHクッキングヒーターに置いて、魚を蒸して焼く『スチームグリル』という商品を10年前に発売し、好評を博していた。この『スチームグリル』をさらに進化させ、「魚をよりおいしく調理することができないか?」と考えた。
魚のおいしさとは何か? 魚の専門家とも意見を交えて出した答えが、「中身がふっくら焼けていること」に加え、「皮はパリッと感があるということ」。
魚の皮をパリッと焼き上げるには、余分な油を落とす焼き網を使うのがよい。七輪で焼いた魚がおいしい理由もそこにあるだろう。しかし、近年の家庭用コンロの性能の進化により、焼き網を使用すると、安全装置が作動して火力が弱まったり火が消えてしまったりする家庭がほとんどだ。
何かよい方法がないか模索しているときに取引先の業者から提案されたのがカーボン(炭素)だった。七輪で使う炭は木炭だが、炭素という共通点がある石炭を使ったら魚をおいしく焼けるのではないか、という。試しにカーボン素材に魚をのせて焼いてみたところ、コンロの火力も申し分なく、遠赤外線効果で魚をふっくら焼くことができた。ただ、脂が落ちないため、パリッとした理想の仕上がりには程遠い。
そこで考えたのは、溝を思い切り深くして脂が落ちる設計にすること。プレートに溝を削ってみたところ大成功。これが、独自形状を持つ「炭プレート」となった。