この春のテレビ番組改編で、多くの番組のリニューアルが行われているが、業界関係者の間で注目を集めているのが日本テレビ・水卜麻美アナウンサー(33才)の抜擢だ。局アナである彼女が『ZIP!』の総合司会に起用されたことはどのような意味を持つのか? そして、日テレの狙いとは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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3月29日、春の新番組やリニューアルされる番組がいっせいにスタートを切ります。今春は昨春からのコロナ禍と視聴率調査変更の影響で、例年よりも番組と人の動きが活発。各局ともに長寿番組の終了やエースアナウンサーの異動など、思い切った編成を見せています。
なかでも最大の注目は、『ZIP!』(日本テレビ系)の総合司会に就任する水卜麻美アナ。日本テレビが同時間帯に放送する朝の情報番組で、女性アナウンサーが単独総合司会を務めるのは初の快挙であり、就任に合わせてロゴとセットを一新することからも期待の大きさがうかがえます。
あらためて日本テレビが同時間帯で放送する朝の情報番組を振り返ると、1979年3月~2001年9月に『ズームイン!!朝!』、2001年10月~2011年3月に『ズームイン!!SUPER』、2011年4月以降は『ZIP!』が放送されています。
それぞれ総合司会の顔ぶれを振り返っていくと、まず『ズームイン!!朝!』では、徳光和夫さん、福留功男さん、福澤朗さんが担当。続く『ズームイン!!SUPER』では男女2人体制となり、主に福澤朗さんと大桃美代子さん、羽鳥慎一さんと西尾由佳理さんが務め、『ZIP!』でも男女2人体制は続き、桝太一さんと関根麻里さん、北乃きいさん、川島海荷さん、徳島えりかさんが総合司会を務めてきました。
ただ男女2人体制と言っても、事実上の“顔”は、徳光さん、福留さん、福澤さん、羽鳥さん、桝さんと同局のエース級男性アナウンサー5人によって引き継がれてきたトップのポジションであり、水卜さんの起用はかなり画期的なことなのです。
“局アナ”としてトップに登り詰める意味
一方、裏番組の総合司会に目を向けてみると、『めざましテレビ』(フジテレビ系)は、三宅正治さんに加えて今春から生田竜聖さんと井上清華さんが新たに就任して3人体制に変更。『グッド!モーニング』(テレビ朝日系)は、坪井直樹さんと新井恵理那さんの2人体制。唯一、『あさチャン!』(TBS系)は、夏目三久さんが単独で務めていますが、彼女はフリーアナウンサーであり、いわゆる“局アナ”の水卜さんとは立場が大きく異なります。
最大の焦点は、水卜さんが「日本テレビアナウンサーのトップ」と言えるポジションに就いたこと。女性社員として組織で登り詰めたことが社会へのメッセージになり、とりわけ毎朝仕事に向かう女性たちに元気を与えるような存在になろうとしているのです。