国際政治学者で、厚生労働大臣や東京都知事を歴任した舛添要一氏(72)は、歯に衣着せぬ直言で知られるが、それだけに激しい批判にされされることも多くあった。バッシングを受けてもブレない姿勢は今も健在だが、政治の一線から距離を置いてからは人生の断捨離も意識しているという。
『週刊ポスト』(3月29日発売号)では、舛添氏を含めて9人の著名人が、それぞれの終活を語っている。舛添氏はそこで、こだわりを持って買いそろえてきたファッションアイテムの断捨離について語っているが、同時に進めているのが人間関係の整理だという。本誌には収録されなかったインタビューを改めて紹介する。
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高齢になったら、ある程度、人付き合いの輪を狭めていくことも大事だと思います。私の場合は、5年前に都知事を辞任してから自然と人間関係が希薄になっていったのですが、それも良かったと思っています。
政治家をしていた頃は冠婚葬祭の付き合いが大変で、本当に多くの葬式や結婚式に出席しました。実際に関係の深い相手だったらいいのですが、形式だけの付き合いで出席するケースも多くありました。そういう場で、「民主党の先生は来てくれたのに、自民党の先生は来なかった」なんてことになったら、次の選挙に影響するかもしれませんからね。
はっきり言って、権力を持っていた時期にはいろんな人が寄ってきました。「俺の娘の結婚式には大臣が出席した」みたいなことを言いたい気持ちもわかるのですが、そういう目的で近づいてきた人たちの多くは、私が権力を失ったとたんに去っていき、見向きもしなくなりました。そういうときにこそ人間性は見えてきますよね。結局は私を利用したいだけだったんだな、と感じることも多くありました。政治家を辞めてからは、もう上っ面の付き合いはしたくないので、その意味では自然に離れてくれて、こちらも楽になりました。
もちろん、こちらが弱り切っている時期に助けてくれる人もいました。私のスキャンダルでは、たしかに経理上の間違いはあったものの、検察が捜査した結果、起訴されることもなかった。それでも世間からは極悪人のようにバッシングを受けたわけですが、そんなときに、「本当のことはわかっているから大丈夫だよ」と声をかけてくれる人もいました。そういう人とは今でも付き合いがありますし、その関係は大事にしたいと思っています。