無派閥で党内の足場が弱い菅義偉・首相の政権基盤を支えてきたのは、後見人の二階俊博・幹事長が自民党内に睨みを利かせてきたからだ。だが、蜜月だった二階氏との関係は、いまや冷め切っていると言っていい。
二階氏に代わって菅政権をコントロールしようとしているのが麻生太郎・副総理兼財務相だ。
菅首相は二階氏とは距離を置く一方で、麻生氏に急接近。昨年10月、12月、今年1月と毎月のように会食を重ねてきた。
麻生氏も、菅首相が喉を痛めていることを知ると、「のど飴」を差し入れ、菅首相が「効果てきめんです。感謝しています」と感謝のメッセージを送るほどの蜜月ぶりだ。
「コロナの追加経済対策でも総理は麻生さんの顔色を窺って追加の給付金を『考えていない』と否定していたが、低所得の子育て世帯に子ども1人あたり5万円の特別給付金支給を決めた。これも麻生さんがウンと言ったから支給できることになった」(官邸の中堅官僚)
ところが、麻生氏が力を持つや始めたのが二階派大臣への露骨な批判だ。麻生氏は同じ福岡選出で“犬猿の仲”として知られる二階派幹部の武田良太・総務相が国会答弁でNTTとの会食について「国民の疑念を招く会食はしていない」と繰り返したことに、
「武田にちょっと言おうかなと思ったんですけど。あんまり仲が良くないので黙っておきました」
「正直なところ、『いい加減にしろや』と言おうと思った」
と“閣内不一致”を暴露し武田氏を追い詰めた。
また、緊急事態宣言の解除にあたっては「マスクなんて暑くなって口の周りがかゆくなって最近えらい皮膚科がはやっているそうだけど。いつまでやるの?」と語って物議を醸している。