「バカとブスこそ、東大に行け!」──。阿部寛演じる元暴走族の弁護士・桜木建二が落ちこぼれの生徒らをそう鼓舞し、東大合格に導くドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)が4月にスタートする。
2005年に放送された第1シリーズの最高視聴率は20%を超え、ブームを巻き起こした。それから15年余り、世は平成から令和へと移り、「東大ブランド」の内実にも変化がみられる。
3月10日に合格発表のあった最新の東大合格者ランキングを見ると、開成、灘、麻布など、有名私立校が上位を占める一方、横浜翠嵐(神奈川県立)や日比谷(東京都立)など、公立校の躍進が目立った。
そうした受験戦争を勝ち抜き、国内最高峰の大学に合格したキラキラのエリート候補たちだが、入学後に「挫折」を味わう者も少なくない。
『東大なんか入らなきゃよかった 誰も教えてくれなかった不都合な話』の著者で、自身も東大卒のライター・池田渓さん(2002年入学、理II)が語る。
「東大に合格することだけが目標だったタイプは、入学後に受験からの解放感で勉強をしなくなり、ダメになってしまうケースも多い。たしかに東大受験は難関ですが、実は“受験勉強が苦しい”と思う時点で東大のなかではスペックが低いのです。本当に優秀な学生は、乾いたスポンジが水を吸うように何でもすぐに理解する。頑張っている人の半分以下の時間で、倍以上の成果をあげる東大生はゴロゴロいます」
そう話す池田氏自身、東大に入学してから鼻をへし折られた経験を持つ。
「入学後、必修科目である数学の担当教官と英語で語り合う同級生や、同時に学び始めたはずの中国語でネイティブの留学生と日常会話を交わす同級生の姿を見て、度肝を抜かれました。地元のコミュニティでは神童扱いをされていた私ですが、間近で見せつけられる絶望的な能力の差にはつらいものがありました」(池田氏)