4代教祖として有力視されているのが、御木貴日止氏の妻で、闘病生活の続いた教祖に代わって活動を取り仕切っていた美智代氏だ。こうして教団が混乱にある中、学園の硬式野球部の復活に力を注ぐ状況にあるとは考えがたいのである。
今年のセンバツでは、新型コロナウイルスの感染対策として、アルプススタンドでの演奏や声を出した応援が禁止となったが、代わりに事前収録した10曲を試合の攻撃中にスピーカーで流すという粋な計らいを日本高野連が行った。決定が直前だったために、収録が間に合わなかった学校は、甲子園での友情応援に慣れた市立尼崎のブラスバンド部の演奏を収めた2枚のCD(10曲ずつ収録)から10曲を選んで流している。
もし、夏の選手権大会もこの形式を継続するなら、ぜひCDに加えてもらいたい曲がある。PL学園の「ウイニング」だ。これは天理の「ワッショイ!」や智弁和歌山(智弁学園)の「ジョックロック」と同等か、それ以上に甲子園を熱狂の渦に包んだ名曲であった。
PL学園の黄金期といえる1980年代から90年代にかけて、対戦校を震え上がらせたあの魔曲が聖地に流れること──それは復活が絶望的なPL学園野球部への鎮魂歌となる。
■取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)