芸能

三遊亭白鳥 無観客生配信で凄みを増す1時間超えの『死霊のラクダ』

三遊亭白鳥が無観客生配信で見せた熱演とは?

三遊亭白鳥が無観客生配信で見せた熱演とは?

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接してきた。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、三遊亭白鳥が無観客生配信で見せた熱演についてお届けする。

 * * *
 2月20日、僕がプロデュースする「代官山落語オンライン夜咄」で、三遊亭白鳥の『死霊のラクダ』を無観客で生配信した。無観客配信は昨年5月に白鳥が『メルヘンもう半分』を演じて以来。その“歴史的名演”は語り草だが、今回もそれに勝るとも劣らぬ見事な高座だった。

 らくだが死んで始まるのが古典の『らくだ』だが、『死霊のラクダ』は「らくだを活躍させ、オチもラクダにちなんだものにしたい」と思った白鳥による改作。江戸時代にラクダが長崎に輸入されたこと、“かんかんのう”も海外から長崎に伝わった踊りであることをマクラで語ってから本編へ。この“長崎” が本編のキーワードとなっている。

 らくだの兄貴分、丁の目の半次に命じられて屑屋が月番である本屋に「らくだが死んだ」と伝えると、本屋は「長崎伝来の『悪魔の書』をあいつに渡したから、その祟りだろう」と言う。だが『悪魔の書』はその後らくだから屑屋に渡っていた。

 大家を脅して手に入れた酒を半次が屑屋に飲ませると、酔った屑屋は「らくだにボコボコにされた」と涙ながらに語る。半次は金で殺しを請け負う恐ろしい人物で、らくだは絶対服従だった。「俺がいたらお前にらくだを殴らせてやった」と半次が言うと、屑屋は『悪魔の書』に書かれた呪文で悪魔を呼び出して死者を蘇らせることを思いつく。

 儀式に必要な“血染めの聖杯”は屑屋の血で染まったらくだ所有の茶碗、以前らくだが大家に斬りつけた“長崎で盗んだ剣”とは伝説の剣ゴッドスレイヤーだった……というのは白鳥らしい見事な“伏線の回収”だ。

 呪文によって降臨した大魔王ルシファーがゾンビのようにらくだを蘇らせると、酒乱の屑屋はそれをボコボコに。「地獄へ道連れにしてやる」と反撃するらくだを屑屋は『悪魔の書』にある呪文「アジャラカモクレン、テケレッツのパー」で地獄に送り返そうとするが、ルシファーの力が宿ったらくだには効かない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大阪・関西万博で天皇皇后両陛下を出迎えた女優の藤原紀香(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
《天皇皇后両陛下を出迎え》藤原紀香、万博での白ワイドパンツ&着物スタイルで見せた「梨園の妻」としての凜とした姿 
NEWSポストセブン
石川県の被災地で「沈金」をご体験された佳子さま(2025年4月、石川県・輪島市。撮影/JMPA)
《インナーの胸元にはフリルで”甘さ”も》佳子さま、色味を抑えたシックなパンツスーツで石川県の被災地で「沈金」をご体験 
NEWSポストセブン
何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
隣の新入生とお話しされる場面も(時事通信フォト)
《悠仁さま入学の直前》筑波大学長が日本とブラジルの友好増進を図る宮中晩餐会に招待されていた 「秋篠宮夫妻との会話はあったのか?」の問いに大学側が否定した事情
週刊ポスト
新調した桜色のスーツをお召しになる雅子さま(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
雅子さま、万博開会式に桜色のスーツでご出席 硫黄島日帰り訪問直後の超過密日程でもにこやかな表情、お召し物はこの日に合わせて新調 
女性セブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
週刊ポスト