軽自動車の販売台数でこれまで不動のトップを誇っていたホンダの「N-BOX」だが、ここにきて、N-BOXを脅かすクルマが急浮上している。スズキの「スペーシア」だ。いったい人気の秘密はどこにあるのか──。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が総走行距離3600kmのロングドライブで検証した。
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日本の自動車販売の4割弱を占め、さらに増加傾向を示している軽自動車。その最激戦区は全高1.7m超級のスーパーハイトワゴンである。
販売のカテゴリートップは単一車型としては普通乗用車を含めた無差別級でも首位のホンダ「N-BOX」だが、以前のような1強ではなく、強力なライバルが次々に挑みかかる戦国時代の様相を呈している。
長らく鬼門だったスズキのスーパーハイトワゴン
N-BOX包囲網の急先鋒となっているのは、スズキ「スペーシア」である。実はスズキにとって、スーパーハイトワゴンは長年、鬼門だった。というのも、このクラスの開拓者であるダイハツ「タント」に後れること5年の2008年に「パレット」を発売したが、当初からタントに対して劣勢。2011年にホンダがN-BOXの第1世代を発売すると、N-BOX vsタントの戦いの狭間でまったく影の薄い存在になった。
2013年には「スペーシア」という新車名で再チャレンジしたものの、これまたまったくパッとせず、販売上位にのし上がることができなかった。
だが、2017年末に現行の第2世代モデルが出てから、突如快進撃が始まる。2018年にはそれまで到底歯の立たなかったタントを抑えて2位に浮上。N-BOXの背中も当初は遠かったが、年を追うごとにその差をじりじり詰めてきている。