新型コロナの流行から1年以上経過して、さまざまな科学的データも集まってきた。季節性インフルエンザとの比較も可能になりつつあるが、そこから得られた事実とは何か。
小林よしのり氏(漫画家)と宮沢孝幸氏(京大准教授・ウイルス学者)の対談本『コロナ脳』(小学館新書)より、新型コロナとインフルエンザのデータを比較した対談部分を抜粋して掲載する(対談は2021年1月下旬に行なわれ、情報はその時点のもの)。
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小林:コロナはこの冬に第三波が来て、2021年1月下旬に、死者は累計5600人くらいになったけど、それでもインフルエンザの1万人に比べれば全然少ない。「いや、コロナの死亡者はまだまだ増えるじゃないか」と反論する人がいるけど、今、政府やメディアが発表している検査陽性者数や死亡者数の数字は、昨年からの累計なんですよ。発生してからずっと足し続けてきた数字です。
日本で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されたのは2020年1月15日で、それからもう1年たったんです。統計の数字で比較するなら、1年で区切って比較するべき。1年でリセットして0に戻し、2年目の数字としてまた1からカウントするのが正しい。
だから、コロナの1年目は2021年1月14日の時点で、「検査陽性者30万2623人」「死亡者数4233人」(ダイヤモンド・プリンセス号の数字を除く)ということで確定なんですよ。
宮沢:統計なので、1月1日から12月31日までの1年で、2020年の数字として区切るという考え方もありますね。それで言えば、1年目の死亡者数の累計は、2020年12月31日の時点で3400人くらいです。
小林:ああ、そうか。そういう考え方もあるか。いずれにしても、これからコロナが日本に定着するのはほぼ確実なので、1年で期間を区切っていったんリセットしないと、インフルエンザとの比較はできない。だけど、政府もメディアも、ずーっと昨年からの数字に足し続けているよね。だから、数字がどんどん膨れ上がっていく。政府もマスコミも過剰対策だったことを認めたくないために、数字を足し続けて何か大変な事態が起きているかのように見せかけようとしているんです。
だけど、わしはそんな印象操作には引っかからない。1年間で区切った数字できっちり比較する。
インフルエンザの「感染者」は、2018年〜2019年の冬季シーズンで約1200万人、2017年〜2018年は約1458万人、2016年〜2017年は約1046万人で、毎年1000万人を優に超えています。毎年1000万人以上出ています。
宮沢:インフルエンザの数字は、発熱や頭痛、せきなどの症状が出て病院に行った「感染者数」の推計値ですね。