スポーツ

藤波辰爾がアントニオ猪木に額を割られた「思い出の夜」

猪木の苦しい時代に側近として支え続けた藤波(アフロ)

猪木の苦しい時代に側近として支え続けた藤波(アフロ)

 アントニオ猪木(78)の「死亡説」が流れたのは3月はじめのことだった。プロレス関係者やファンのみならず、国民的スターの「速報」に日本中がざわついた。

 今年1月には腰の治療のために入院したことを明らかにしていたが、「死亡説」が流れた直後には、本人がYouTubeでメッセージを発し、「元気ですかー!といえるように頑張っていきます!」と健在ぶりを示して周囲を安心させた。しかし、3月末になると弱気な発言もするようになり、再びファンを心配させている。

「病気は、コロナでだいぶ人がいないけど、その時にやっぱり俺も弱気になる部分が。もういいやって思う自分と、皆に支えられて役割というのかな、もういいだろう、楽にさせてくれよっていう」(3月28日)

 これには、視聴者からも「弱気なコメントは似合わない」「あきらめないで」と熱いメッセージが相次いだ。最初に「死亡説」が流れたとき、直弟子の藤波辰爾は、すぐに本人に電話をかけて無事を確認したという。ファンには周知のとおり、藤波は猪木が1972年に新日本プロレスを立ち上げた時代からの側近でもある。『週刊ポスト』(4月5日発売号)では、「昭和のライバル秘話」を特集している。ジャイアント馬場とアントニオ猪木が切磋琢磨してプロレス・ブームを築き上げた思い出を語った藤波に、改めて馬場と猪木の関係と新日本プロレス草創期の苦労を聞いた。

「馬場さんと猪木さんは『両雄並び立つ』という感じでした。僕も長州(力)とライバルだと言われましたが、あの二人はそういうものとは違うと思っています。当時は、どっちが強いんだというのは愚問だった。(二人の師匠である)力道山先生は、野球界から転身、アメリカで華々しく活躍して凱旋した馬場さんを看板として大事に守り、その看板を盛り立てるスターが必要だという思いで可愛がったのが猪木さんでした。日本プロレス時代は、馬場さんと猪木さんはライバルなんて関係を超越した存在だというのが僕たちレスラーやファンの気持ちだったんですよ」

団体が分かれた後も二人はプロレス界を支える最強タッグであり続けた(時事)

団体が分かれた後も二人はプロレス界を支える最強タッグであり続けた(時事)

 その後、馬場と猪木は袂を分かつことになる。猪木が独立して新日本プロレスを設立し、馬場は日本プロレスの流れを汲む全日本プロレスを率いた。当初は全日本の圧力で外国人レスラーの招聘が思うようにできずに猪木は窮地に立たされた。1976年のモハメド・アリとの異種格闘技戦でブレークするまで、新日本は苦しい時代を経験する。

「相撲出身の力道山先生には、プロレスも相撲のような協会にしていく考えがあったんだと思います。だから、日本プロレスの正式名称は『日本プロレス協会』たったんです。ただ、そうした世界ではOBや取り巻きが増えて影響力が強くなる。馬場さんと猪木さんは、このままではいけないと、おそらく何度も話し合いをされたはずです。プロレス界を良くしていこうという気持ちは二人とも持っていたけれど、どこかで方向性が違ってボタンの掛け違えが起きてしまったのでしょうね」

関連キーワード

関連記事

トピックス

会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
六代目体制は20年を迎え、七代目への関心も高まる。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
《司忍組長の「山口組200年構想」》竹内新若頭による「急速な組織の若返り」と神戸山口組では「自宅差し押さえ」の“踏み絵”【終結宣言の余波】
NEWSポストセブン
1985年、初の日本一は思い出深いと石坂浩二さんは振り返る(写真/共同通信社)
《阪神ファン歴70数年》石坂浩二が語る“猛虎愛”生粋の東京人が虎党になったきっかけ「一番の魅力は“粋”を感じさせてくれるところなんです」
週刊ポスト
第1子を出産した真美子さんと大谷(/時事通信フォト)
《母と2人で異国の子育て》真美子さんを支える「幼少期から大好きだったディズニーソング」…セーラームーン並みにテンションがアガる好きな曲「大谷に“布教”したんじゃ?」
NEWSポストセブン
俳優・北村総一朗さん
《今年90歳の『踊る大捜査線』湾岸署署長》俳優・北村総一朗が語った22歳年下夫人への感謝「人生最大の不幸が戦争体験なら、人生最大の幸せは妻と出会ったこと」
NEWSポストセブン
漫才賞レース『THE SECOND』で躍動(c)フジテレビ
「お、お、おさむちゃんでーす!」漫才ブームから40年超で再爆発「ザ・ぼんち」の凄さ ノンスタ石田「名前を言っただけで笑いを取れる芸人なんて他にどれだけいます?」
週刊ポスト
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン