国内

「まん延防止措置」と「緊急事態宣言」、わかりやすく比較してみた

新型コロナウイルス感染症モニタリング会議後、取材に応じる東京都の小池百合子知事(時事通信フォト)

新型コロナウイルス感染症モニタリング会議後、取材に応じる東京都の小池百合子知事(時事通信フォト)

 コロナ対策とどう向き合うかは、メンタル管理という意味でも重要だろう。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 コロナウイルスの猛威は、ますます勢いを増しています。期待されていたワクチンの接種も、掛け声ばかりでいっこうに進んでいません。

 いっぽうで東京オリンピックパラリンピックの聖火リレーが各地で行なわれたり、出場選手を決める各競技の予選が行われたりして、それなりに盛り上がっています。まんまと風向きが変わりかけている気配を感じずにはいられません。この調子だと、「開催反対」を口にした人が非国民扱いされるようになるまで、あと少しです。

 そんな混とんとした状況の中、政府は週明けの4月12日から、東京都、京都府、沖縄県の3都府県に「まん延防止等重点措置」を適用することを決定しました。大阪府、兵庫県、宮城県の3府県には、すでに今月5日から適用されています。

 コロナを抑え込むためには、私たちひとりひとりが万全の注意を払わなければなりません。そのためにも「まん延防止等重点措置」と、先月21日まで東京都などに発出されていた「緊急事態宣言」との違いについて、きちんと考えておきたいところ。

 わかりやすく比較するために「7番勝負」を試みてみました。今、本当に必要なのは、どちらなのでしょうか。

7番勝負!「まん延防止等重点措置」vs「緊急事態宣言」

・勝負その1「飲食店への時短要請と補償はどう違うか」

 今回の「まん延防止等重点措置」(以下「ま」)でも、「緊急事態宣言」(以下「緊」)のときと同じく、午後8時までの短縮要請が出される見通しです。休業要請は「ま」はできません。時短協力金は「緊」のときは1日あたり6万円でしたが、「ま」では1日あたり4万円(事業規模に応じて変額)となる予定。権限の大きさや手厚さという点では「緊」の勝ちです。ただ、払うお金をなるべく少なくしたい国にとっては「ま」の勝ちかも。

・勝負その2「どちらが国民に強い危機感を抱かせることができるか」

 たび重なる発出で当初ほどのインパクトは薄れているとはいえ、響きからも字面からもやれることの範囲という点でも、この勝負は「緊」の勝ちと見るのが妥当でしょう。

・勝負その3「どちらが実際の感染防止効果が期待できるか」

 イメージと実際の効果とは、また別の話。適応できる要件は、「緊」がステージ4相当で、「ま」が原則としてステージ3相当。区域は「緊」が都道府県、「ま」が都道府県知事の判断で特定の地域に絞れます。事態が悪化する前に適用できるのはいいとして、地域を絞ることが吉と出るのか凶と出るのかはわかりません。どちらも飲食店の時短がメインの対策で、人数制限ではなく時間を制限することにどれだけ意味があるのかも議論が分かれるところです。この勝負は、引き分けといったところでしょうか。

・勝負その4「どちらが呼びやすいか」

「ま」は、登場した初期から「まん防」という略称が使われていました。しかし、「マンボかよ!」といったツッコミをさんざん受けます。その後、西村経済再生担当大臣が国会で「『まん防』という言い方は基本的に使わないようにしている。ちょっとふざけたような雰囲気もある」と発言するなど、昨今では「まん防」は使いづらい雰囲気になりました。「ま」の圧勝かと思われたこの勝負ですが、うさぎと亀の昔話とよく似た展開で、結果的には「緊」がリードしていると言えるでしょう。

関連記事

トピックス

船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
MajiでFukkiする5秒前(時事通信フォト)
2年ぶり地上波登場の広末涼子、女優復帰は「過激ドラマ」か 制作サイドも“いまの彼女ならなら受けるのでは”と期待、“演じることにかつてなく貪欲になっている”の声も
週刊ポスト
YouTubeでも人気を集めるトレバー・バウアー
【インタビュー】横浜DeNAベイスターズ、トレバー・バウアー「100マイルを投げて沢村賞を獲る」「YouTubeは第2の人生に向けての土台作り」
週刊ポスト
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン
旧統一教会は今後どう動くのか(時事通信フォト)
解散命令を受けた旧統一教会 「自民党への復縁工作」もありうると鈴木エイト氏指摘、教団と議員の関係を示す新情報リークの可能性 石破首相も過去に接点
週刊ポスト
藤川新監督(左、時事通信フォト)の船出とともに、名物商店街にも大きな変化が
阪神「日本一早いマジック点灯」のボードが電光掲示板になっていた! 名物商店街が今季から「勝った翌日に減らす」方式を変更 貼り替え役の店長は「ようやく解放される」と安堵
NEWSポストセブン
公開された中国「無印良品」の広告では金城武の近影が(Weiboより)
《金城武が4年ぶりに近影公開》白Tに青シャツ姿の佇まいに「まったく老けていない…」と中華圏のメディアで反響
NEWSポストセブン
女子ゴルフ界をざわつかせる不倫問題(写真:イメージマート)
“トリプルボギー不倫”で揺れる女子ゴルフ界で新たな不倫騒動 若手女子プロがプロアマで知り合った男性と不倫、損害賠償を支払わずトラブルに 「主催者推薦」でのツアー出場を問題視する声も
週刊ポスト
すき家の「クチコミ」が騒動に(時事通信、提供元はゼンショーホールディングス)
【“ネズミ味噌汁”問題】すき家が「2か月間公表しなかった理由」を正式回答 クルーは「“混入”ニュースで初めて知った」
NEWSポストセブン
本格的な活動再開の動きをみせる後藤久美子
後藤久美子、本格的な活動再開の動き プロボクサーを目指す次男とともに“日本を拠点”のプラン浮上 「国民的美少女コンテスト」復活で審査員を務める可能性も 
女性セブン
スシローから広告がされていた鶴瓶
《笑福亭鶴瓶の収まらぬ静かな怒り》スシローからCM契約の延長打診も“更新拒否” 中居正広氏のBBQパーティー余波で広告削除の経緯
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・HPより 写真はいずれも当該の店舗、スタッフではありません)
《丸ごとネズミ混入》「すき家」公式声明に現役クルーが違和感を覚えた点とは 広報部は「鍋に混入した可能性は著しく低い」と回答
NEWSポストセブン