コロナ対策とどう向き合うかは、メンタル管理という意味でも重要だろう。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。
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コロナウイルスの猛威は、ますます勢いを増しています。期待されていたワクチンの接種も、掛け声ばかりでいっこうに進んでいません。
いっぽうで東京オリンピックパラリンピックの聖火リレーが各地で行なわれたり、出場選手を決める各競技の予選が行われたりして、それなりに盛り上がっています。まんまと風向きが変わりかけている気配を感じずにはいられません。この調子だと、「開催反対」を口にした人が非国民扱いされるようになるまで、あと少しです。
そんな混とんとした状況の中、政府は週明けの4月12日から、東京都、京都府、沖縄県の3都府県に「まん延防止等重点措置」を適用することを決定しました。大阪府、兵庫県、宮城県の3府県には、すでに今月5日から適用されています。
コロナを抑え込むためには、私たちひとりひとりが万全の注意を払わなければなりません。そのためにも「まん延防止等重点措置」と、先月21日まで東京都などに発出されていた「緊急事態宣言」との違いについて、きちんと考えておきたいところ。
わかりやすく比較するために「7番勝負」を試みてみました。今、本当に必要なのは、どちらなのでしょうか。
7番勝負!「まん延防止等重点措置」vs「緊急事態宣言」
・勝負その1「飲食店への時短要請と補償はどう違うか」
今回の「まん延防止等重点措置」(以下「ま」)でも、「緊急事態宣言」(以下「緊」)のときと同じく、午後8時までの短縮要請が出される見通しです。休業要請は「ま」はできません。時短協力金は「緊」のときは1日あたり6万円でしたが、「ま」では1日あたり4万円(事業規模に応じて変額)となる予定。権限の大きさや手厚さという点では「緊」の勝ちです。ただ、払うお金をなるべく少なくしたい国にとっては「ま」の勝ちかも。
・勝負その2「どちらが国民に強い危機感を抱かせることができるか」
たび重なる発出で当初ほどのインパクトは薄れているとはいえ、響きからも字面からもやれることの範囲という点でも、この勝負は「緊」の勝ちと見るのが妥当でしょう。
・勝負その3「どちらが実際の感染防止効果が期待できるか」
イメージと実際の効果とは、また別の話。適応できる要件は、「緊」がステージ4相当で、「ま」が原則としてステージ3相当。区域は「緊」が都道府県、「ま」が都道府県知事の判断で特定の地域に絞れます。事態が悪化する前に適用できるのはいいとして、地域を絞ることが吉と出るのか凶と出るのかはわかりません。どちらも飲食店の時短がメインの対策で、人数制限ではなく時間を制限することにどれだけ意味があるのかも議論が分かれるところです。この勝負は、引き分けといったところでしょうか。
・勝負その4「どちらが呼びやすいか」
「ま」は、登場した初期から「まん防」という略称が使われていました。しかし、「マンボかよ!」といったツッコミをさんざん受けます。その後、西村経済再生担当大臣が国会で「『まん防』という言い方は基本的に使わないようにしている。ちょっとふざけたような雰囲気もある」と発言するなど、昨今では「まん防」は使いづらい雰囲気になりました。「ま」の圧勝かと思われたこの勝負ですが、うさぎと亀の昔話とよく似た展開で、結果的には「緊」がリードしていると言えるでしょう。