近視の矯正というと、まず浮かぶのはメガネやコンタクトレンズの装用だ。しかし、できることなら裸眼でよく見えるようにしたいという人がほとんどだろう。最近では、様々な視力矯正の技術が登場しているが、そんななか、夜間に特殊なコンタクトレンズを装用して視力回復を目指すのがオルソケラトロジーだ。
オルソケラトロジーは、就寝時にコンタクトで角膜のカーブを矯正し、視力改善をはかる。起床後は裸眼で正視の状態で過ごせる。日本に初めてオルソケラトロジーを導入した三井メディカルクリニックでは、さらに進化させたオサート治療も行われている。
「オサートは、オルソケラトロジーでは対応できない強度近視や乱視、遠視、老眼の改善にも効果があります」(三井メディカルクリニック・三井石根院長)
従来のオルソケラトロジーは、矯正するレンズの種類が少なく、オルケソラトロジーを利用したくても適合する選択肢が少なかった。オサートは、三井院長自ら患者の目の状態や形状に応じてレンズのデザインを施すオーダーメイドなので、一人ひとりの角膜形状に応じたレンズを使用できる(特許取得済み)。
オルソケラトロジーもオサートも毎晩の装用が必要なため、俳優などの不規則な時間で活動する職業の人や、世界を飛び回るスポーツ選手などには継続使用が難しい場合もあった。現在は矯正した角膜を固定化させ、以後は矯正レンズが不要という技術も開発中で、今後が期待される治療法のひとつといえる。
取材・文/小野雅彦
※週刊ポスト2021年4月16・23日号