3月下旬、1都3県で2度目の緊急事態宣言が明けると、年度末ということも相まって、国民の気は一気に緩んだ。いまや1日の新規感染者が大阪で1000人、東京で500人を超えるなど、大都市を中心に“リバウンド”し、行動制限をともなう「まん延防止等重点措置」が始まった。まったく収束しないこのコロナ禍。この状況があと数年続くという見方もある──。
最初の緊急事態宣言から1年が経つが、コロナ感染拡大と行動制限、緩和、そしてまた感染拡大を繰り返し、出口なき無限ループに陥っているようにうつる。
「政府が経済対策と感染対策のどちらを重視するか、常に優柔不断であったことは否めません。東アジア圏は欧米諸国に比べて感染者や死者が少ないとはいえ、決断できない政治がコロナにすぐ勝てるとは思えない。さらにオリンピック開催に追われていますし、今後も感染拡大の負のサイクルから逃れられないでしょう」(全国紙記者)
この状況はいつまで続くのだろうか。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが語る。
「この先3~5年は自粛生活が続く可能性があります。関西で流行している変異株のように、ウイルスは変異を繰り返し、人間の免疫や防御態勢を潜り抜けて侵入してきます。特に新型コロナはこの半年で世界中に多くの変異株が出現し、そのなかでも感染力が強く進化したウイルスが生き残っている。長期戦を覚悟する必要があります」
米カリフォルニア大学アーバイン校准教授で公衆衛生学を専門とするアンドリュー・ノイマーさんは「キーポイントはワクチンの普及」と指摘する。
「ワクチン接種によって国民の多くが免疫をつけることができれば、集団免疫を獲得することができます。そうすれば、コロナから完全に解放されずとも、季節性インフルエンザのような存在になっていくでしょう」
アメリカ政府のコロナ対策チームの1人は地元メディアに「人口の7割から9割が免疫を持てば『集団免疫』と呼ばれる、感染が広がりにくくなる状態になるだろう」と語っているが、いまだワクチン接種率1%の日本にとっては、相当の時間が掛かると予想される。
「三菱総合研究所は3月末、感染症や公衆衛生の専門家20人以上に対して、今後の見通しを聞き取り調査した結果を発表しました。『移動の制限がなくなるのはいつからか』という質問に対して、過半数が答えたのは2024年末。つまり、あと3年以上はがまんするしかない、というのが専門家の意見なのです」(前出・全国紙記者)