今年の入試は新型コロナウイルスの影響を大きく受けた。志望校選びもそうだが、学部・学科選びにも影を落とした。高校の休校によるオンライン授業の実施、リモートワークの発達など、受験生の情報系への関心が高まり、今年の入試で人気になった。
それに加えて、未知のウイルスとの戦いという点で、医学部への関心も高まった。今の受験生は困っている人を助けたい、社会貢献をしたい意識が高いこともある。ただ、単純に人気になったかというとそうでもなく、院内感染をはじめとする厳しい医療現場の報道も、受験生の耳に入って混迷が深かった。
それを乗り越え、結果的に国公立大医学部の志願者数は、昨年に比べて微減にとどまり、国公立大全体の志願者3.2%減を上回った。コロナ禍による景気の先行き不透明感も、医学部人気の追い風になったようだ。
医学部合格者トップ「東海」は14年連続
この状況で全国の50国公立大医学部医学科に強かった学校はどこか順に見ていこう(別掲表参照)。なお、昨年48人合格の開成(東京)は、まだデータを公表していないので表には出てこない。
合格者数トップは14年連続で男子校の東海(愛知)で、93人合格だった。医学部志望者は、早い段階から医学部と決めている場合が多く、たくさんの合格者を出している学校ではコロナ禍でも変わらず人気が高かった。東海の合格者の内訳をみると、名古屋大30人、名古屋市立大12人でトップだった。
「久留米大附設」はなぜ2位に躍進したか
2位は昨年比合格者25人増で、昨年の5位から躍進した久留米大附設(福岡)。中学を共学にし、その一貫生が初めて卒業したのが2019年だ。この年は東大合格者が増え、九州の学校として初めてトップ10入りを果たした。もともと医学部に強かったが、それ以降、医学部の合格者がそれまで以上に増えてきている。
予備校の関係者は、「京都の洛南もそうですが、男子校から共学になった進学校では、医学部志望者が増えるところが多くなっています。女子の医学部志向がかなり強いからでしょう」と言う。理系上位の女子に医学部志向は強い。やはり、手に職との考えが強いせいだろう。
特に今年はコロナ禍もあって、地元志向が高まっている。東大、京大の理系より地元大学の医学部を目指す受験生は例年以上だったと見られる。久留米大附設の合格内訳をみると、九州大が26人でトップだった。