2021年は旧ソ連のユーリ・ガガーリンが人類初の有人宇宙飛行を成功させて60年の節目に当たる。その間、人類の宇宙開発は飛躍的な進歩を遂げた。国際的な宇宙開発の流れの中で、日本人宇宙飛行士も重要な役割を担っている。
4月22日にはJAXAの星出彰彦氏が宇宙へ飛び立ち、昨年11月から宇宙に滞在する野口聡一氏と共に、日本人宇宙飛行士2名が同時に国際宇宙ステーション(ISS)で活動する。これまで宇宙に旅立った12人の日本人に加え、今秋には13人目の新・宇宙飛行士の募集も始まる。
『宇宙から帰ってきた日本人』の著書があるノンフィクションライター・稲泉連氏は、12人全員に取材を敢行した経験の持ち主。その稲泉氏が、12人の経歴をわかりやすく解説する。
TBS記者として日本人初の宇宙飛行
秋山豊寛(あきやま・とよひろ)
飛行期間:1990年12月2日→12月10日
日本人として初めての宇宙飛行は、民間人のジャーナリストによってなされた。旧ソ連の宇宙ステーション「ミール」での滞在の様子はテレビ中継され、「これ、本番ですか?」という第一声も話題に。帰還後、秋山氏はTBSを退社し、有機農業にも取り組む。
スペースシャトルに搭乗した初の日本人
毛利衛(もうり・まもる)
飛行期間:1992年9月12日→9月29日、2000年2月11日→2月22日
科学者の宇宙飛行士としてスペースシャトルに2度の滞在。無重力実験や三次元地図の作成ミッションなどに携わる。後に宇宙での体験をもとに、生命と地球のつながりを「ユニバソロジ」という概念を用いて表現した。今年3月まで日本科学未来館の館長も務めた。
日本初の女性宇宙飛行士
向井千秋(むかい・ちあき)
飛行期間:1994年7月8日→7月23日、1998年10月29日→11月7日
日本人女性初の宇宙飛行士で、以前は慶應大学病院の医師だった。俳優・石原裕次郎が入院した際の担当医の一人でもあった。現在は東京理科大学の特任副学長。「スペース・コロニー研究センター」のセンター長を務め、産学連携による宇宙開発の様々な提案を行っている。
5度目の宇宙飛行を控えるJAXA特別参与
若田光一(わかた・こういち)
飛行期間:1996年1月11日→1月20日、2000年10月11日→10月24日、2009年3月15日→7月15日、2013年11月7日→2014年5月14日
1996年の初飛行以来、計4度の宇宙飛行を経験。4度目の飛行の際は、日本人として初めてISSコマンダー(船長)を務める。JAXAの特別参与となった現在も現役飛行士を続けるリーダー的な存在で、2022年には5度目のミッションへの参加が予定されている。