近年、若者世代の「スマホ依存」が囁かれており、『スマホ脳』(新潮新書)がベストセラーとなったが、真に注意すべきは50~60代が陥りやすい中高年の「スマホ脳」である。
総務省・情報通信政策研究所が昨年発表した調査によれば、50代のスマホ利用率は88.1%、60代でも77.2%に及んでいる。その後も通信各社は次々とスマホの格安プランを提示。中高年のスマホ依存は進む一方だ。
スマホ依存が進行すると、感情のコントロールが難しくなったり、眼の不調に直結したり、脳の機能低下を引き起こす恐れがあるとして、医師らも注意を呼びかけている。
では、様々なリスクを孕む中高年の“スマホ脳”を防ぐにはどうすればいいか。脳神経外科医で『その「もの忘れ」はスマホ認知症だった』(青春新書)の著書がある、おくむらメモリークリニック院長の奥村歩医師は、「スマホに脳の代わりをさせすぎないこと」が重要だという。
たとえば、以下のようなスマホの使い方には要注意だ。
●有名人の名前や映画のタイトルが思い出せないと、すかさずスマホで検索する。
●初めての場所に行くときはスマホのナビに最初から頼る。
●仕事や街角で興味を示したものを、観察せずにスマホで写真を撮って保存しておく。
「便利な機能をすべて否定するわけではありませんが、記憶をすべてスマホのメモ機能などに任せてしまうのは危険です。“思い出せないこと”や“覚えておきたいこと”にぶつかるたびにスマホに頼っていたら、人間の記憶力はどんどん錆び付いてしまいます。
最近は“スマホで検索すれば分かりそうなことは覚えなくてもいい”という風潮がありますが、このようなスマホ任せの態度は脳が本来持つ“考える機能”の低下を招く」