今年のゴールデンウイークも、コロナ禍でステイホームになりそう……。そんな鬱屈とした休日は、胸がキュンとするような映画でも見て、心をときめかせたいところ。そこで、映画通の小堺一機(65才)にキュンとできるおすすめ映画を教えてもらった。
「淀川長治先生が解説されていた『日曜洋画劇場』は、いまの深夜枠でやるような作品も紹介していました。胸キュン映画で思い浮かんだのが、そこで放映されていた『シベールの日曜日』というフランス映画。ぼくは、まだ小学生でしたが、『こんな映画があるのか』と、驚いた記憶が残っています。
第一次インドシナ戦争で記憶喪失になったパイロットと、父に捨てられ、寄宿学校に預けられている少女が親しくなる物語なんですが、周囲の人々は、だんだん男を変質者扱いするようになる。実際は全然違っていて、むしろ子供になってしまった大人の男と、大人にならざるを得なかった少女の話で、精神的に逆転しているんです。この少女が演技ではなく、本当に大人の女性に見えてきて、とても不思議な気持ちで観ていました。ラストも衝撃的で、切ない映画でしたねぇ」
そして、当時の小堺青年をキュンとさせたのが、不朽の名作『追憶』。主演のケイティ役のバーブラ・ストライサンドが歌った主題歌は、『ネスカフェ』のCMソングとしてもおなじみだ。
「公開時は浪人生で、予備校の女友達に『絶対観た方がいい』と言われて行き、みごとにハマりました。ハベル役のロバート・レッドフォードが、同性から見ても『なんていい男なんだ……』とウットリしましたね(笑い)。
作家志望のハベルは、運動も勉強もできてみんなからモテる。そんな彼に憧れているのが、政治活動に傾倒するケイティです。赤狩りなど、硬派なテーマも盛り込まれているけれど、いいとこのボンと貧乏女学生の、ある種ロミオとジュリエットのような成就しえない恋愛物語ですよね。
劇中で、ハベルが緑広がる大学のキャンパスを走っているシーンを観て『うわー、ぼくもあんなキャンパスに通いたい!』と憧れたものです。それで、パンフレットを見て専修大学を選んだのですが、写真にあった緑は隣のゴルフ場でした(笑い)。