「おしゃれをする、外に出かける、休む……歌詞に登場する、当たり前の人間の日常がどれほど大切だったか、私たちがいま、当たり前の暮らしにどれだけ焦がれているか。『リトルマーメイド』の『パート・オブ・ユア・ワールド』にも、主人公の人魚姫アリエルが、外を歩いたり、日の光を浴びることに憧れる歌詞が出てくる。公演が延期されている間、こんなふうに、歌詞の一つひとつに対する思いや感じ方が変わっていきました」(荒木さん・以下同)
荒木さんは、かつては自身も劇団四季の俳優として、『美女と野獣』や『マンマ・ミーア!』などに出演していた。舞台上で生きるうえで大切なのは「ひたむきさ」だと語る。
「不平等な世界ですから、オーディションで落とされることも、声がかかって抜擢されることもあります。もちろん、役に合っているかどうか、技術が劇団の求めるレベルに達しているかは重要です。けれど何よりも、誠実に、ひたむきに作品と向き合っている姿勢そのものが、その俳優を輝かせる。ですから、『The Bridge』の出演者は、私には全員が輝いて見えます。浅利先生もよく“下手でもいい。一生懸命やれ”とおっしゃっていました」
撮影/平野哲郎 提供写真撮影/阿部章仁、荒井健、重松美佐、山之上雅信
※女性セブン2021年5月6・13日号