中国の首都・北京市の地下には15もの主要な活断層が走っており、その3分の1の5本の活断層は「強く活動的」で、今後100年の間に大規模な地震が発生する危険性が高いことが明らかになった。北京市地震局は2020年までに「緊急地震速報システム」を完成する予定だったが、計画は遅れており、市民の地震発生への警戒感が高まっている。
ネット上では「1976年の唐山地震では25万人が死亡している。今後、同じく規模の地震が発生すれば、その倍以上の50万人もの犠牲者が出る可能性がある」などとの不安の声出ているが、即座に消去されるなど、中国当局は地震のうわさに神経質になっているようだ。米国を拠点とする中国問題専門ウェブサイト「多維新聞網」が報じた。
中国の北京地震探知技術研究所と中国地質調査研究所は合同で、北京市を中心とした地質調査を行い、その結果を学術誌「地球物理学誌」に発表した。それによると、北京の主要な活断層は前回調査のほぼ2倍の15本で、「北京平野が今後、地質学的危険に見舞われる可能性は活断層の活動と密接に関連している」と指摘している。
とくに、このところ開発が急速に進んでいる北京市近郊の地域の地下では活動が活発な活断層が5本走っていることが分かったという。
そのうちの1つは、市北東部の懐柔地区の確認されている。懐柔地区の地下には、極超音速(ハイパーソニック)兵器開発のための世界で最も強力な風洞を含む、国内で最も高価な研究施設の一部が建設中だ。また、懐柔地区は北京原人遺跡が発見された周口店があることでも知られている。
さらに、これに加えて、今後地震が発生する可能性が高いとみられているのは、万里の長城がある北京市近郊の長平、大興のハイテク産業地域でIT産業が発達し、高級住宅街を形成している順義区だ。順義区には首都国際空港もある。