舞台『サンソン─ルイ16世の首を刎ねた男』で主演を果たす稲垣吾郎(47才)に放送作家でコラムニストの山田美保子さんがインタビュー。いまや“18世紀のヨーロッパが最も似合う舞台人”となったゴローさんに、今回もズバッと聞いちゃいました!
山田:ベートーヴェンが吾郎サンに憑依した舞台『No.9 ─不滅の旋律─』再々演の千秋楽から3か月半。再び主演舞台を拝見できるなんて、うれしくてたまりません! 演出の白井晃さん、脚本の中島かずきさん、音楽の三宅純さん、そして、プロデューサーの熊谷信也さんは、すっかり“チーム・吾郎”ですね。
稲垣:ありがたいよね。白井さんはポスター撮影にも来てくださるかた。稽古に入る前に俳優のポスターの表情も演出なさるかたって、なかなか、いらっしゃらないんですよ。でも考えてみたら、そこから足並みを揃えたり、作品全体のイメージを決めることって、すごく大切。正しい演出家の姿を見せていただいています。白井さんの机の上にフランス革命の資料や歴史書、ナポレオンのDVDなどが置いてあるのを見ると、もっと勉強しなきゃと焦っちゃう(笑い)。
もともとぼくは理数系はからっきしで文学や歴史の方が得意だったんだけど、博識なのに勉強家の白井さんには日々、教わることばかりです。
山田:今回の舞台は、そんな“文系”の吾郎サンならではの企画だった『ゴロウ・デラックス』(TBS系)で、ゲストにみえた坂本眞一さん作の漫画『イノサン』との出会いがきっかけになったとうかがいました。
稲垣:別にぼくの発案とか、そういうのではないんだけれど、漫画を読んで、対談させていただいて、アトリエまでお邪魔させていただいたことで、作品の世界観にすごく惹かれたのは確かです。
驚きだったんだよね。原作の『死刑執行人サンソン』(安達正勝さん著)も含めて、世の中には知られていないけれども、命をかけて職務をまっとうしてきた人がいるんだという……。そういう衝撃でしたね。
世間からの偏見とか重圧とか、たくさんあったと思うんです。でもそれを坂本先生が独特のビジュアルで描かれた。その美しい世界観にどんどん引き込まれていったんですよね。そのうち、だんだん自分とオーバーラップしていって、舞台でやったら、きっと素晴らしい作品になるし、舞台に向いているとも思い始めました。まさか、こんなに早く実現するとは。プロデューサーの熊谷さんのスピーディーな仕事ぶりに心から感謝です。
山田:『No.9』からの熊谷さんとのタッグ、名コンビ感がスゴイです。私、熊谷さんとは長いので……。
稲垣:え、まさかつきあってたの?