芸能

劇団四季代表取締役「配信は演劇の充分な代替品になり得ない」の意味

吉田智誉樹さん

2014年劇団四季の代表取締役を務める吉田智誉樹さん。「舞台芸術は常に一期一会」と

 劇団四季の新作『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』の全国公演が4月16日に開幕した。コロナ禍で公演数が半減し、舞台芸術の存在意義さえ問われる状況の中、名実ともに“日本一”の劇団はコロナとどう向かい合ったのか。代表取締役の吉田智誉樹さんは、劇団を人の体に例える。

「創設者の浅利慶太の教えはまるで血液のように私たちの中に流れ、浅利を知らない新人という“新たな細胞”にも、それは受け継がれていくのだと思います」

『The Bridge』で初めてオリジナル作品の演出を務める荒木美保さんも、浅利さん亡きいまも、その信念はしっかりと受け継がれていると話す。

「そのうえで、自分たちなりの新たな作品づくりをしなければ、先人がつくり上げてきたものを本当の意味で守ることはできないと思っています。劇中で朗読する『ハングリー・キャッツ』の詩にあるように、“得たものをこわしながら築き、築きながらこわす。相変わらず、飢えている”ことが大切なのです」(荒木さん)

 創立68年目を迎えた劇団四季の「これまで」を受け継いだ『The Bridge』は、未曽有の危機を乗り越え、劇団四季の「これから」に続く架け橋となっていく。同作に出演する笠松哲朗さんはいう。

「先輩たちが築いてくれたものは、確かにぼくたちの足掛かりになっています。同じように、ぼくたちの“いま”の積み重ねが、いずれ誰かの“これから”になるんだと思います。『The Bridge』には、アラジンやシンバといった役名がありません。出演者はみんな、ありのままの自分で、劇団四季の歴史を表現しなければいけないんです。

 普段は『アラジン』や『ライオンキング』といった架空の物語の中に身を投じて生きているぼくたちは、お客さまの前で自分自身をさらけ出すことが、とても怖かった」(笠松さん)

 それについて、荒木さんは、そうして恐れたり、悩んだりする一人ひとりの生きざまこそが、この作品のストーリーになっていくと話したという。

関連記事

トピックス

モテ男だった火野正平さん(時事通信フォト)
【火野正平さん逝去】4年前「不倫の作法」を尋ねた記者に「それ俺に聞くの!?」 その場にいた娘たちは爆笑した
週刊ポスト
「●」について語った渡邊渚アナ
【大好評エッセイ連載第2回】元フジテレビ渡邊渚アナが明かす「恋も宇宙も一緒だな~と思ったりした出来事」
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さま(時事通信フォト)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
「SUNTORYドリンクスマイルBAR」
《忘年会シーズンにこそ適正飲酒を》サントリーの新たな取り組み 自分に合った “飲み“の楽しさの発見につながる「ドリンク スマイル」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン