ただただうんざりするしかないコロナ禍だが、数少ない“メリット”が、インフルエンザや風邪の患者数が少なかったこと。マスクやうがいの励行が功を奏したとともに、コロナ感染を避けるため病院へ行かなかった結果、「病院でインフルエンザや風邪をうつされる」ということが減ったとも言われている。
しかし、コロナ感染を気にして定期検診を後回しにしたという人も多く、本来なら早期に発見できていた病気が、見つからなかったというケースもあり得るだろう。では、コロナ禍においても絶対に受けておくべき検査・検診はどういったものなのか。常磐病院乳腺外科の医師、尾崎章彦さんが、特に女性が受けるべき検査として真っ先に挙げるのは、乳がんと大腸がんだ。
「新型コロナウイルスの影響で検診控えが進み、世界的にも、がんの発見数が減っています。なかでも、乳がんと大腸がんへの影響が大きいです。それぞれ女性で1番目、2番目に多いがんであり、40才以上になったら検診を必ず受けた方がいいでしょう」
どちらも検診で見つけやすく、早期の発見で命が助かる確率が高い。
「大腸がんは1年に1回便潜血検査を受けてほしい。大腸の内視鏡検査の方が精度は高いですが、便潜血検査は自宅で採便して病院に持っていくだけでいい。コロナ時代に適した検査なのでぜひ検討してほしい」(尾崎さん・以下同)
ただし異常があれば、大腸内視鏡検査をする必要があることを忘れずに。
「便潜血検査も完全な検査ではありません。例えばポリープはがん化する可能性がありますが、便潜血検査では小さいポリープはうまく見つけられないことがある。便潜血検査で異常がないからといって、がんのリスクがゼロになったというわけではない。最低でも2年に1度定期的に受けることが重要です」
医療法人社団進興会理事長で、旧国立がんセンターでがんの予防や検診にあたってきた医師の森山紀之さんも、大腸がんと乳がん検診は重要だと説く。
「大腸がんの便潜血検査は簡単にできるうえ体にも負担をかけないので、受けていない人がいれば大問題。大腸がんは女性の死因第1位で、早期発見して大事に至らないようにするためにも、すぐに予約をとってほしい。
また、最低でも2年に1回は、マンモグラフィーを受けた方がいい。若い人に多い高濃度乳腺なら、超音波検査を併用するとより安心です。コロナ禍になってから一度も受けていない人は、すぐに検診を受けてほしい」