いまや人気声優は、非アニメ系のメディアからも求められる存在だ。『鬼滅の刃』ブームの中で、主人公・炭治郎役を演じる花江夏樹をはじめとしたキャストたちは、『しゃべくり007』(日本テレビ系)、『さんまのまんま』(フジテレビ系)といった名だたるバラエティ番組に続々と出演を果たした。
また、新ドラマにおいては、『桜の塔』(テレビ朝日系)に『ドラえもん』スネ夫役などで知られる関智一、『リコカツ』(TBS系)に『美少女戦士セーラームーン』の月野うさぎ役などで知られる三石琴乃がレギュラー出演中だ。
声優がバラエティやドラマに出演するとなると、SNS上で話題になる。その反響を狙った起用だろうが、とはいえ、1クールのうち2本のドラマに声優がレギュラー出演しているというのは、何か新たな時代の訪れを感じさせる。
もちろん、顔出しが求められるのは、バラエティやドラマからもオファーのある一部のトップ声優に限った話ではない。国内外でアニメイベントが開催されており、声優たちのトークショーがその目玉となっている。
また、『ラブライブ!』シリーズに代表されるように、ライブイベントを重視したアニメプロジェクトは無数に存在する。ライブを主軸に置いているぶん、出演声優には演技力に加えて、歌やダンスのスキル、時にはビジュアルの良さも要求される。そんな現状を鑑みると、大御所ならともかく、若手声優が顔出しNGを貫くことは、数多のチャンスを失いかねないリスキーな選択かもしれない。
メディア等での顔出しが当たり前になったぶん、現代では、声優はタレントやアイドルに近い職業になったとも言えるが、従来、舞台での活動を行なう声優は多く、歌やダンスのレッスンを実施している声優養成所は少なくない。