1980年代のアイドルはまさに「高嶺の花」だった。ファンたちは気になるアイドルの出演番組を片っ端から視聴し、新譜が出たら確実に購入。雑誌のグラビアに胸をときめかせ、ポスターを部屋に貼って毎日眺めていたものだ。1980年代後期、アイドルがやや勢いを失っていた時期にデビューした“最後”の80年代アイドル、島崎和歌子が当時を振り返る。
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1987年、14歳の時に「ロッテ CMアイドルはキミだ!」というアイドルオーディションに応募したのが、芸能界入りのきっかけです。まだギリギリ、全国規模のオーディションがあった時代でした。そして89年5月に『弱っちゃうんだ』でアイドル歌手としてデビュー。キャッチコピーは“ワカコドキドキ”。まあ48歳になった今も、違う意味で“和歌子ドキドキ”ですけどね(笑い)。
私のデビュー曲の衣装は、なぜかバスガイドさんのような黄色のパンツスーツでした。アイドルといえばフリフリのスカートのイメージだったので、一度でいいから穿いて歌ってみたかったなあ、と今になって思います。
ただちょうどその頃はバンドブームと重なり、時代はアイドル人気の衰退期。『ベストテン』(1989年終了)や『トップテン』(1990年終了)といった生放送のヒットチャート歌番組もなくなって、テレビで歌う機会がどんどん減っていった「アイドル冬の時代」でしたから、ある意味仕方なかったのかもしれません。
そんな中でも『魔法少女ちゅうかないぱねま!』(1989年7月)のヒロインに抜擢されたのは幸運でした。その頃の私はショートカット。当時のショートカットといえば荻野目洋子さん、浅香唯さんが有名でしたが、時代的にアイドルはまだまだ長髪が主流だったのでオーディションに受かるか不安でした。
初めてのお芝居で右も左もわからず、当時はまだ高価なフィルムを使っていて何回もNGを出すと大変だから、必死で演技しましたね。アイドルを取り巻く環境が厳しくなった時代でしたが、それでも色々な経験をさせてもらったことは感謝しています。
今の若い子からは司会をしている面白いおばちゃんくらいにしか思われていないかもしれませんが、ちゃんとアイドルだったことは忘れないでほしいですね(笑い)。
【プロフィール】
島崎和歌子(しまざき・わかこ)/1989年に『弱っちゃうんだ』で歌手デビュー。現在は『オールスター感謝祭』(TBS系)の総合司会をはじめバラエティ番組を中心に活躍中。
※週刊ポスト2021年5月7・14日号