新年度が始まっておよそひと月が経つ今頃は、新社会人や新入生が慣れない生活環境や人間関係に悩み出す時期かもしれない。だが『言ってはいけない 残酷すぎる真実』や『上級国民/下級国民』などの著作がある作家の橘玲氏は、「今いる場所でうまくいかないなら、自分の強みや一芸を最大限発揮できるところに移ればいい」と指摘する。(取材・構成/池田道大)
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以前は通勤電車に毎日揺られて出社するのが当たり前でしたが、今はリモートワークが推奨されるなど、コロナによって人々の価値観や働き方が大きく変わりました。
一方で長引くコロナによって、新入社員が会社で仕事を教えてもらえなかったり、キャンパスで友人と会えない大学生も多いでしょう。ヒトは徹底的に社会化された動物なので、人間関係や社会とのつながりを絶たれると精神的にも身体的にも強い負の影響が出ます。
コロナ禍はワクチンの普及によって沈静化し、日常は徐々に戻ってくるでしょうが、これを機会に私たちの生き方や「関係の築き方」が大きく変わっていく可能性があります。
リベラルな社会では「自由」が最大化されますから、好きなものを自由に選択できる方向にどんどん進んでいます。好きな仕事をして、好きな人とつき合って結婚するのは当たり前と思っているでしょうが、日本でも半世紀ほど前まではこんなことは一部の特権層しかできませんでした。
ファッションでもレストランのメニューでも、いまでは多すぎる選択肢のなかから好きなものを選べます。でもひとつだけ例外があって、それが学校や会社の人間関係です。そしてこれが、いじめやハラスメントを引き起こし、大きな社会問題になっています。