【NEWSポストセブンプレミアム記事】
長年悩んでいるお通じをよくするために、朝起きたらコップ1杯の牛乳を飲んでお腹を活性化。すかさず便秘薬ものむ。ランチにぜいたくしてステーキ丼を食べたら胸焼けがするから、胃薬を1粒。夜風に当たると震えを感じたので、かぜ薬をのみ、野菜たっぷりのスープを飲んで就寝──体のための行動のはずなのに、実はすべて逆効果だった!
2年連続で“巣ごもり連休”を余儀なくされたにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染者拡大は止まる気配がない。医療崩壊が叫ばれて久しいいま、感染防止のためにも、軽い症状なら病院に行かず治そうと、市販薬を購入する人が増えている。
実際、日用品の消費において市販薬の割合は増加しており、コロナ禍において4割の人が「ドラッグストアの使用頻度が上がった」(※マーケティング事業を行う企業・ピアラが行った2021年3月の調査による )という調査もある。しかし、手軽に購入できるとはいえ、“薬”であることに変わりはない。銀座薬局の代表で薬剤師の長澤育弘さんが言う。
「通販で購入できる市販薬であったとしても、一般的な食品と違って、少量で人体に多大な影響を及ぼします。病気やつらい症状に効果がある一方で、のみ方によっては、毒にもなりうる。特に相性が悪い食品と併せて薬を摂取した場合、効き目が悪くなるばかりか、健康に悪影響を及ぼしかねないことも知っておいてほしい」
自分の体は自分で守る必要がある。気をつけるべき組み合わせを知っておこう。
焼き肉で胃もたれした時にのんでも効かない胃腸薬も
気温が上昇し、食べ物が傷みやすくなるこの時期、胃腸薬を常備し始める人も多いだろう。長澤さんが特に注意喚起するのが、胃腸薬と牛乳をはじめとした乳製品の組み合わせだ。
「胃腸薬のなかでも胃酸を中和する『制酸剤』に含まれる水酸化アルミニウムは、牛乳のカルシウムの吸収を促進します。カルシウムの過剰摂取によって、吐き気や下痢、多尿などの副作用が表れることがあるので注意が必要です」(長澤さん)
制酸剤は、胃酸が多すぎて胸焼けや胃もたれをしたときにのむことが多い胃腸薬だ。しかしその原因が焼き肉やステーキの食べすぎなら、効果は期待できない。長澤さんが続ける。
「肉に含まれるリン酸が制酸剤の成分と結合し、薬の効果が弱くなってしまう。肉を食べた後にのむなら、胃酸の働きを抑える胃腸薬ではなく、胃腸の運動を活性化させる健胃剤や、消化を助ける消化剤を選ぶようにしてください」
また、制酸剤をのむ前後は、オレンジジュースのように酸味があるものを飲むことも避けたい。薬剤師の三上彰貴子さんが指摘する。