アメリカやイギリスではとっくの昔に希望者全員に新型コロナウイルスのワクチン接種を開始。一方で日本は、まだ医療従事者にさえ打ち終わっていない。「先進国で接種率がダントツの最下位」「ワクチン敗戦国」と散々な言われようだ。しかし、水面下では“大逆転のシナリオ”が進行中──。
「5月中旬から約3か月間、自衛隊内で医療にかかわるスタッフは、ワクチンの大規模接種に動員される計画が進んでいます。医官だけでは人手が足りない。看護官や歯科医、臨床検査技師、この春に防衛医大を卒業した新米医官まで総動員です。特例法の制定が必要な部分もありますが、“総理の意向”なので充分にやれる。全国に接種会場を設営し、朝8時から夜20時まで。まさに総力戦で臨む覚悟です」(自衛隊関係者)
菅官邸は、あの手この手でワクチン接種に奔走している。1つはワクチンの確保。菅首相は4月17日、米ワクチンメーカーのファイザーのトップと電話会談し、追加供給を直談判。米モデルナ製のワクチンも「早ければGW明けにも承認される」(厚労省関係者)という。
「ファイザー製とモデルナ製で、ワクチンの数は充分に揃ったと見ていい。菅総理はGW前の会見で『7月末までに希望する高齢者の2回の接種を終えたい』とだけ説明しましたが、実は仰天するようなプランも進行しています。準備さえ整えば、5月中旬にも、『7月末までに希望する国民全員に接種する用意がある』という発表も検討しています。もちろん、国内に居住する外国人も対象です。そうなれば、6月にも、年齢も基礎疾患も関係なく希望者への接種が始まるんです」(官邸関係者)
残るは、「接種会場」と「接種スタッフ」の確保である。今後、どんどん新設されるとされているのが、国が運営する「大規模接種センター」。
「医療従事者や高齢者には、国が自治体にワクチンを配布し、自治体が主体になって接種を進めてきました。しかし、自治体もパンク気味です。そこで、国が主導して接種を一挙に進めようとしているのです」(前出・厚労省関係者)
現状、決定された会場は、大手町合同庁舎3号館(東京・千代田区)と、大阪府立国際会議場(大阪府大阪市)だけだ。まだまだ足りない。
「換気しやすく広い場所がいい。スタジアムや球場は会場として適切でしょう。大きな施設がない場合は、大きな駐車場にテントを張って会場にしてもいい」(血液内科医の中村幸嗣さん)
大規模接種センターでは、基本的にモデルナ製のワクチンが打たれるという。
「今後、ファイザー製も続々と届くはずなので、大規模接種センターの会場ごとにファイザーかモデルナかが振り分けられることになるでしょう」(前出・厚労省関係者)