シリーズ累計発行部数7200万部を超える大ヒット漫画『るろうに剣心 ─明治剣客浪漫譚─』(集英社)を原作とした映画『るろうに剣心』がついに完結を迎える。2012年に「主人公を演じるならこの人しかいない」と原作者・和月伸宏が太鼓判を押した佐藤健(32才)が、約10年の年月をかけて共に生きた役・緋村剣心との出会いから別れ、これからのことを語った。
「いまはまだそんなに実感がわかないんです。10年一緒にいた別れのさみしさよりも、無事に公開できてホッとしているという気持ちや、みなさんに届けられる喜びが大きいかな」
そう静かに語る横顔は、スクリーンの中で静かに微笑む剣心のように見える。佐藤が『るろうに剣心』の緋村剣心として主演を飾ったのは2012年のこと。
「当時はまだ22才で、いまほど役の重みとか、演じるということ、とかわかっていなかった。目の前にあるミッションに120%向き合って全力でやりきっているだけで、全体を俯瞰して考えたり、力の出し抜きを考えたりすることができていなかったと思います。変わらないのは、剣心という存在が自分自身の中から湧き上がっているという感覚ですね」
シリーズ1作目の『るろうに剣心』は、国内外で注目され、2014年には続編『京都大火編』『伝説の最期編』が1作目を大きく上回るヒットとなった。それから7年、完結編となる今作『るろうに剣心 最終章 The Final』(公開中)、『るろうに剣心 最終章 The Beginning』(6月4日公開予定)は、佐藤自身が「どうしてもやらなければいけない」と考えていたエピソードだった。
「やらなければいけないというよりも僕自身、原作の中で最も好きなエピソードなんです。原作ファンのかたたちも大切にしているものでもある。きちんと演じきりたいと思いました。シリーズの中で最も時間をかけて練りに練った作品になっています。
公開中のFinalでは、“史上最大の敵”である雪代縁(新田真剣佑)とのバトルが描かれますが、これは縁という人物はもちろん剣心自身の“過去”という最大の敵とのバトルです。過去を胸に秘める剣心の生き様には、後悔も懺悔も、芽生えた正義も、さまざまな思いが去来しています。
そうした気持ちとどう向き合うか、現場に入って監督やキャストと何度も何度も話し合って作り上げました。激しいアクションシーンはエンターテインメントの真骨頂と自負できるほどの場面に仕上がっていますが、現場で湧き出てきた思いがセリフになり、動きになっている。それは縁を演じた真剣佑くんも同じはずです」