『エド山口のOh!エド日記』という動画がYouTubeで話題になっている。ミュージシャンでタレントのエド山口(72才)が、2020年1月から117回にわたって配信しているもので、チャンネル登録者は約2.8万人。エレキギターを手に、懐かしのグループサウンズから歌謡曲に至るまで、幅広いジャンルの音楽について語り、14万回視聴を超える回もある。配信のきっかけと反響について、エドはこう語る。
「日本のバンド黎明期を支えた先輩たちがどんどん亡くなっちゃってるんだよね。かまやつひろしさん、加瀬邦彦さん、ジャッキー吉川さん……。その時代を知る生き証人としていろいろ話しておきたいし、70才を過ぎてYouTubeを始めてみるのも面白いと思ったわけ。
歌謡曲が好きだったし、ラジオ番組をずっとやっていて、ネタは山ほどあるから、見る人がいなくてもいいやって始めたんだけど、意外と評判よくてね。サザンオールスターズの桑田佳祐さんがぼくの動画を見てくれていて、FM東京の番組で面白いって何回も言ってくれているのが励みになってる」(エド・以下同)
さまざまな音楽にまつわる話を配信しているなか、昨年12月に配信した#88『放送禁止!歌謡曲♪』と、#89『放送禁止!歌謡曲♪Part2』は、合わせて8万回以上再生されている。
「ラジオ番組でかけられない曲っていうのがいくつかあり、それを雑学的に披露しようと思ったのが、放送禁止歌をテーマにした2本の動画。1本目を配信した後、こんな歌もあるって情報提供がいっぱいきたのもうれしかったなあ」
エドの言うように、テレビやラジオでかけられない曲、いわゆる「放送禁止歌」は確かにあった。この歴史はいまから63年前にさかのぼる。1959(昭和34)年に、日本民間放送連盟(民放連)が「要注意歌謡曲指定制度」を発足させ、「要注意歌謡曲一覧表」という内部通達の文書を作成したのだ。『「放送禁止歌」~唄っているのは誰? 規制するのは誰?~』というドキュメンタリー番組を1999年に制作した映画監督で作家の森達也さんが、当時のいきさつについてこう語る。
「毎年膨大な数の歌が作られるなか、すべてを各局の担当者がチェックするのは難しい。そこで民放連が『要注意』と判断した曲をリストアップし、それぞれの放送局が放送するかしないかを判断する際のガイドラインとしたんです」
ランクは3つあり、「A」は放送しない、「B」は歌詞はダメだがメロディーは放送しても大丈夫、「C」は不適切な個所を変えればOKというもの。しかし、これに拘束力はなく、あくまでも自主規制するための基準でしかない。一口に「放送禁止歌」といっても、その理由は、「わいせつ」「反社会」「差別」などさまざまだ。