『きんぎょが にげた』や『みんな うんち』などの人気作品を生み出した絵本作家の五味太郎さんは、75歳となったいまも精力的に創作活動を続ける。それは、新型コロナウイルスの感染拡大で不安なこの世の中になっても変わらない。最新絵本『会いたくて会いたくて』が話題の女優・室井滋さんが、五味さんのエネルギーの源に迫る。
室井:コロナの影響で五味さんの生活は変わられました?
五味:全然変わってない。もともと人に会う機会が多い仕事ではないし、リモートワークも多かったし。好きな麻雀もやってる。
室井:雀荘に行くんですか?
五味:仕事場でマスクをつけて、小さい声で麻雀を。「ロン」って(笑い)。
室井:いいなあ。私も麻雀が好きで、昔はフリーで雀荘に行くほどでしたけど、事務所に「遊んでばっかり」って叱られて、いまは行ってません。そういえば中国では、コロナの出始めの頃、外出禁止だから家の中でコッソリ麻雀をしていたら、突然公安がやってきて麻雀台をたたき割るという映像がありましたよね。それに比べたら日本は平和ですね。
五味:国によってはコロナを理由に強制的に立ち入り調査ができるから。でも第二次世界大戦に負けた日本は、民主主義を何よりも尊重するから、政府の判断だけでロックダウンができない仕組みになっている。
室井:一方で、コロナ対策を決めるのにも時間がかかって、統一の見解がなかなか決まらないですし、緊急事態宣言が解除されたかと思ったらまた出たりで、飲食店なんかは振り回されています。
五味:コロナに関する今の状況は問題があるね。でも、民主主義の観点で言えば、こうやってグズグズしているのがいいと思うよ。
室井:グズグズ(笑い)。
五味:このダメな感じが日本のいいところなの。サササッて解決しない方がいいんだよ。国が勝手に方針を決めて、全体が従うようになったら危ないからね。
そうした中で、国が言っていることを真面目に守るタイプの人っているよね。自粛警察みたいなことまでして、人気のないところをぶらっと歩いていると「ちゃんとマスクをしてください」みたいなことを言ってくる人。
戦時中って、赤紙が来たらみんなで万歳をして送り出したわけでしょ? 親にしたら子供を死なせたくはないけど、戦争に参加するのは国民の義務で、お上の言うことには逆らえない。従わないと非国民だという時代だったから。でも、戦争に参加するのが国民の義務だよって息子を戦場に送ったお母さんたちの責任ってなんだって思うのよ。