コロナで需要が急増するお取り寄せグルメだが、数年~10数年待ちという、“超長待ち”の商品も存在する。
『北鎌倉 天使の食パン』は17年待ちだ。店主の多以良泉己(たいらみずき)さんは元競輪選手。競技中の事故で歩行困難になり、リハビリの一環としてパンづくりを始めた。
「当初は趣味程度でしたが口コミで評判となり、2008年に開店しました。夫は毎日3時間ほどの睡眠で工房に立ちますが、すべてが手作業のうえ後遺症もあり、どうしても時間がかかってしまいます」(妻の総子さん)
全国紙でも紹介され、待ち期間は徐々に長期化。「届く頃に自身の病気が治っていますように」と願掛けの意を込め注文する人もいる。
縁起物として珍重され、最大12年待ちなのが紀州梅専門店『五代庵』が申(さる)年に漬ける梅干し『丙申年の梅五福』だ。現在販売中の梅は2016年の「丙申」に漬けられたもの。次回販売は7年後の「戊申」の年となる。
「平安時代、病に倒れた当時の村上天皇が、申年に漬け込んだ梅干しと昆布茶で病を治したとの言い伝えが残る。申年の梅干しは縁起が良く、健康で長生きできるという風習が全国に伝わりました」(五代庵担当者)
19年待ちの『神戸ビーフコロッケ「極み」』は、もともと“お試し品”だった。
「神戸ビーフの美味しさを知ってもらおうと、1999年に通販を始めました。10年近く前の注文確認で電話を入れると、詐欺グループかと疑われることもある(笑い)」(店主・新田滋さん)
客に「クロワッサンのようにサクサクだ」と言われたことが由来の『クロワッサン餃子』は1年半待ち。
「経営危機に陥ったこともあるが、なんとか持ちこたえた。よく『話題作りで待ち期間をわざと長くしているのでは』と言われるが、できることなら早く届けて早く代金を受け取りたい(笑い)」(木内政信社長)
長く待たされる分、味わいも深くなるに違いない。長い年月を待ってでも食べたいと人気のお取り寄せグルメから、代表的なものを紹介しよう。