父・花田光司氏(元・貴乃花親方)との間に生じている行き違いや、歌手やアートなど多方面で活動することへの疑問など、何かと世間の反発を受けがちな花田優一氏。しかし、本業である「靴職人」としての実像はあまり報じられていない。5月、そんな優一氏の素顔を探るべく「週刊誌記者」が弟子として“潜入”したという。「憎い存在」といって憚らない週刊誌記者との奇妙な交流を優一氏がレポートする(別稿で記者本人のレポートあり)。
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今日、僕の靴工房に、一人の男性が「弟子入り」した。
日々一人で、工房で作業する僕にとって、学びに来る者がいると、自分の仕事にも身が入る。職人の人口が減っている今日、靴作りを学ぶ意欲がある者に出会えることに、希望を感じている。
弟子になった男が、「週刊誌の記者」であることを除いて。
ある日、家にいるとインターホンが鳴った。僕はその頃、父に“勘当”されたらしく、いつものように家の周りに記者がいることはわかっていた。インターホンのモニターに映る、派手なコートを着る男が週刊誌記者であることはすぐにわかった。
「お父様に勘当された件についてお話をお聞きしたいのですが」と言うので、「今、家の者がおりませんので」と、いつものようにわかりやすい嘘をついた。
15分後ほどして外を見ると、“珍しく”週刊誌記者は立ち去っていた。ついでにポストを見ると、便箋が3枚ほど畳まれた封筒があった。中には、先程インターホンを鳴らした週刊誌記者の丁重な謝罪文と取材したいという旨が、急いで書いた文字で並んでおり、彼の、すぐに立ち去り手紙に書き記すという行動に、無礼な記者ばかりで麻痺していたのか、僕はなぜか心を打たれた。
「週刊誌記者」は世界で一番嫌いな職業
断るにせよ、取材を受けるにせよ、彼には直接話をするのが筋だと思い、電話をした。そして取材を受けることになった。
取材内容は、「これ以上、失礼な質問をするのであれば、帰ってください」と面と向かって言うほど、怒り心頭な質問ばかりだった。結果として、議論と編集の末、記事は悪くないものになったが、週刊誌記者の適当さと低俗さに呆れる気分だった。
その週刊誌記者は、約1か月後、僕の弟子になった。