ホンダが昨年9月に発売したBEV(バッテリー式電気自動車)「Honda e」。ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(WCA主催)の部門賞を受賞するなど世界では一定の評価を得ているが、日本国内では知名度、人気ともに今ひとつ。ホンダの年間販売目標も1000台と消極的だ。その理由はどこにあるのか──。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が1600km超のロングドライブで検証した。
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「Honda e」は、全長3.8m台というショートボディに総容量35.5kWhのバッテリーを実装。モーターをボンネット下ではなく後輪の軸上に置き、後輪を駆動するリアドライブレイアウトのプラットフォームを新規開発して採用したホンダの意欲作である。
ホンダはHonda eについて「街中ベスト」を標榜している。4人乗りで荷室も狭いこと、最小回転半径が4.3mと小回りがきくことなど、商品特性は確かにシティコミュータそのものだ。
だが、一方で35.5kWhのバッテリーを積み、最大電流200Aを出せる最新の急速充電器を使えば30分で200km走行分の充電が可能とも主張している。それが本当なら近所を走り回るだけではいかにももったいない。遠乗りだって全然OKな数値ではないか。
ということで、このHonda eをターゲットフィールドである街中から引っ張り出し、東京~九州間というBEVにとってはハードなスーパーロングドライブに挑んでみた。