ライフ

汚部屋から東大に通った漫画家が語る「ゴキブリとの共同生活」

ハミ山氏は「汚部屋」で成長し東大に

ハミ山氏は「汚部屋」で成長し東大に入学した(写真はかつてハミ山クリニカ氏が母と住んでいた実家。本人提供)

 腰の高さまで積み上がったゴミ、不用品、食べ残したお菓子、そして壊れて水の流れないトイレ。台所のガスコンロは焦げ跡にまみれ、はるか昔から洗っていない食器に埋まるシンクには、虫もたかっている──。いわゆる「汚部屋」だ。そんなマンションの一室で受験勉強し、「東京大学」に合格して、その部屋から大学に通った人がいる。

 自身の体験をベースに描かれたマンガ『汚部屋そだちの東大生』(ぶんか社刊)の作者・ハミ山クリニカ氏だ。

 作中に登場する実家のマンションは、母と主人公の娘・田島優の2人暮らし。ゴミが散乱し足の踏み場がなく、主人公は健康な生活を送るのにも一苦労。マンションは都内の一等地にあるから周囲からは“東大に受かるようなお嬢さま”と思われているが、家に帰ると「汚部屋」というわけだ。ハミ山クリニカ氏が振り返る。

「中学に入ったころからゴミが増えていき、気付くとゴミ屋敷になっていました。マンガで描いたように本当にトイレが壊れていて、一回使うごとに災害時のようにバケツで汲んだ水をタンクに注いで流していました。冷蔵庫も壊れていたので料理はほとんどしなかった。数年前の新聞や雑誌、食べ残しの菓子や総菜が重なり“地層”を形成していました。当然、ゴキブリもいました」

 母親には何度も一緒に片付けようと話しても拒否され続け、その蓄積で写真のような状態に。そんな状況が続いて、ハミ山氏は感覚が麻痺してきたという。

「ずぼらな母はトイレの修理を提案しても取り合ってくれないばかりか、その壊れたトイレで、自分の用を流さないことすらありました。注意してもあまり反応がないので、だんだん“あ、またか”としか思わなくなっていました。自宅が荒れていたことも『汚い』とは思わず『不便だな』と感じる程度でした。

 ゴキブリにしても、夜寝ていると“近くにいるな”という気配を感じたり、顔の上をゴキブリが這い回ったりすることもありました。さまざまな駆除グッズも効かず、困り果て、最終的には大きなゴキブリに『太郎』などと名前を付けていました。無意識のうちに、ゴキブリを自分と親しい存在と思い込むことで恐怖を感じないようにしていたのかもしれません(苦笑)。

 ただ、私は学校で普通に暮らして先生からの評判もよかったので、家庭に問題があるとは気づかれていないようでした」(ハミ山氏)

関連記事

トピックス

異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《体調不良で「薬コンプリート!」投稿》広末涼子の不審な動きに「服用中のクスリが影響した可能性は…」専門家が解説
NEWSポストセブン
いい意味での“普通さ”が魅力の今田美桜 (C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
朝ドラ『あんぱん』ヒロイン役の今田美桜、母校の校長が明かした「オーラなき中学時代」 同郷の橋本環奈、浜崎あゆみ、酒井法子と異なる“普通さ”
週刊ポスト
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”川崎春花がついに「5週連続欠場」ツアーの広報担当「ブライトナー業務」の去就にも注目集まる「就任インタビュー撮影には不参加」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
広末涼子、「勾留が長引く」可能性 取り調べ中に興奮状態で「自傷ほのめかす発言があった」との情報も 捜査関係者は「釈放でリスクも」と懸念
NEWSポストセブン
筑波大の入学式に臨まれる悠仁さま(時事通信フォト)
【筑波大入学の悠仁さま】通学ルートの高速道路下に「八潮市道路陥没」下水道管が通っていた 専門家の見解は
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
《事故前にも奇行》広末涼子容疑者、同乗した“自称マネージャー”が運転しなかった謎…奈良からおよそ約450キロの道のり「撮影の帰り道だった可能性」
NEWSポストセブン
長浜簡易裁判所。書記官はなぜ遺体を遺棄したのか
【冷凍女性死体遺棄】「怖い雰囲気で近寄りがたくて…」容疑者3人の“薄気味悪い共通点”と“生活感が残った民家”「奥さんはずっと見ていない気がする」【滋賀・大津市】
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン