俳優の田村正和さんが心不全のため、4月3日に死去していたことが、5月18日に判明した。77歳だった。田村さんは1961年に映画『永遠の人』でデビューすると、1970年代に『眠狂四郎』(フジテレビ系)、1980年代に『うちの子にかぎって…』『パパはニュースキャスター』(ともにTBS系)、1990年代に『パパとなっちゃん』(TBS系)、『古畑任三郎』シリーズ(フジテレビ系)、2000年代に『オヤジぃ。』(TBS系)など、長期にわたって、数々のヒットドラマに出演。日本芸能史に名を残す俳優だった。テレビ局関係者が話す。
「田村さんのドラマをもう一度、見たいという声はよく聞きます。近年、俳優さんや映画監督が逝去された直後に作品の再放送はありますし、絶対無理というわけではありません。田村さんのドラマや映画も、地上波で何かしら放送されるのではないでしょうか。
ただ、局としても、たくさんの出演作を再放送したいのは山々なのですが、過去の作品になればなるほど、ハードルが高くなります。出演者には、著作権法で『著作隣接権』が認められています。そのため、二次利用をするときには、出演者に許諾を得ないといけません。最近の作品であれば、連絡先も比較的容易にわかりますが、40~50年前の映画やドラマだと、既に芸能界から去った方もたくさんいますし、居場所を探すだけで一苦労します。ちなみに、『著作隣接権』は実演を行った時から70年間存続します」
昭和の頃はテレビで10年前や20年前近くの作品が頻繁に再放送されていたが、平成中期からはあまり見掛けなくなった。平成に入ってから著作権法の一部が改正され、権利者の許諾を必要とするようになったからだ。
「再放送を拒否する事務所やタレントもいます。それは、仕方ないと割り切れる。しかし、ドラマや映画は出演者が多いため、単純に連絡先がわからない人が出てきて、見送るケースも結構あります。これは、もどかしいですね。ようやく判明して、電話をするとすぐオーケーを出してくれる場合もよくあるんですよ。でも、法律上の問題なので、連絡せずに勝手に放送するわけにはいかない。配信であれば、連絡先不明の場合、配信に際して権利者の申し出を募り、確認が取れれば著作権料を支払うこともできるし、嫌ならばボカシを入れるなどして処理をすればいい。しかし、地上波ではそうはいかないですから」