新型コロナウイルスの感染拡大が収束しないなか、国民からは中止や延期を求める声も多く出ている東京五輪。しかし、何が何でも「開催ありき」で突き進むのが、一部の政治家や“五輪貴族”たちだ。日本政府は、入国する五輪関係者に対して「14日間の隔離」を免除するなど“入国特権”を与えているが、五輪関係者の特権はまだまだある。
来日する各国選手は選手村と競技会場を行き来するだけの「バブル方式」が適用され、事実上の“軟禁状態”に置かれる見通しだ。一方でバッハ会長をはじめIOC(国際オリンピック委員会)や各競技団体の幹部は5つ星ホテルでの“貴族生活”が約束されている。
東京都は大会期間中に「The Okura Tokyo」「ANAインターコンチネンタル」「ザ・プリンス パークタワー東京」「グランドハイアット東京」の4ホテルの全室を貸し切り、IOC関係者に提供することを保証している(「立候補ファイル」より)。
「The Okura Tokyo」には、国内最高額とされる1泊300万円のスイート(720平米)があるが、IOC側の負担額の上限はどんな部屋でも1泊400ドル(約4万4000円)までと定められ、差額は組織委が負担する。
さらに今年4月28日に開かれた政府と組織委、東京都の五輪コロナ対策調整会議で、感染防止のために大会関係者と選手の移動は「新幹線一両貸し切り」「航空機はチャーター」などと決められた。バッハ会長が「ぼったくり男爵」(米国ワシントン・ポスト紙)と報じられるはずである。
日本の組織委幹部の待遇も破格だ。
東京五輪は開催しても中止しても大きな赤字が出ることが予想され、最終的には税金で穴埋めすることになるが、常勤役員報酬の最高額は月額200万円で、別に交通費、通勤費、旅費(宿泊費含む)、手数料等の経費が支給されると定められている。経費の見直しが行なわれても役員報酬は減らされていない。
どれだけ感染拡大してもIOCや組織委側が「中止」を言い出さないわけである。
※週刊ポスト2021年5月28日号