新型コロナウイルスによる自粛生活は、「ジェンダー格差」が大きい日本社会の「歪み」をクッキリと浮き彫りにした。たとえば、自殺者の数。感染が急拡大した昨年は男性の自殺者が減少したのに対し、女性自殺者は15%も増加した。その傾向は今年に入ってさらに悪化。都市部に緊急事態宣言が出された今年4月の女性の自殺者は607人と、昨年4月よりさらに37%も増えた。
非正規雇用の女性やシングルマザーの困窮。家庭内のDVや性暴力の深刻化。学校や介護施設の“機能不全”による育児や介護の女性の負担増──。
内閣府男女共同参画局の「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」は4月28日に発表した報告書でこう指摘している。
《そもそも、女性が経済的に自立する前提が乏しく、経済基盤が極めて脆弱な状況では、今回のようなグローバルなコロナの影響を大きく受ける被害者となることは容易に想像できる。この状況は女性たちだけの問題というよりも、男性たちも含めた社会全体の問題として緊急に取り組むべき問題である》
世界を見ると、コロナに果敢に立ち向かい、辣腕を振るっているのは女性の政治リーダーたちだ。
アジアで初めて「同性婚」を合法化した台湾の蔡英文総統(64才)は、IT大臣にLGBTの天才プログラマー、オードリー・タン氏を起用して感染封じ込めの実績を上げてきた。
先進国の首相で初めて「産休」を取ったことで知られるニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(40才)も、「死者ゼロ」の段階から徹底したロックダウンと入国規制で感染を見事に封じ込める手腕を発揮した。欧州では、ドイツのアンゲラ・メルケル首相(66才)の演説やメッセージが国民の不安を大いに和らげた。