5月25日から開幕する交流戦。年に一度のセとパの激突の行方を左右しそうなのが、大豊作のルーキーたちの活躍だ。
ルーキーにとって交流戦は、大きな躍進の場。2005年には初マウンドのダルビッシュ有(34、日本ハム=当時)が広島戦で初勝利を飾り、2013年には大谷翔平(26、日本ハム=当時)が、3試合を投げて1勝0敗、打者としては打率.433と、二刀流を開花させた。
今年の“台風の目”は、やはり「阪神の三羽ガラス」だろう。新人ながら4番に座る佐藤輝明(22)、ショートのレギュラーを勝ち取った中野拓夢(24)、開幕から先発ローテ入りして球団新人37年ぶりの開幕3連勝を挙げた伊藤将司(25)は、首位独走の原動力だ。
特に佐藤は10本塁打、32打点(19日時点)でタイトル争いに食い込み、すでにセ・リーグの顔となっている。怪力・佐藤とパのパワーピッチャーの対戦に心躍るが、中でも注目なのが、オリックスのエース・山本由伸(22)との“同級生対決”だ。
「山本はストレート、フォーク、パワーカーブ、カットボールなどすべてのボールが“一級品”で、球界ナンバーワン投手の呼び声が高い。オープン戦では山本が佐藤を完璧に抑えたが、佐藤はリベンジに燃えている。対決の舞台は、高校時代には2人とも縁がなかった甲子園です。オリックスには高卒2年目ながらすでに4勝を挙げ、防御率2.05を誇る宮城大弥(19)もいる。
メジャーから楽天に復帰した田中将大(32)との対戦も興味深い。メジャーでもトップクラスの投手に、佐藤のパワーが通用するかどうか見ものです。一方、中野拓夢は日大山形時代に夏の甲子園準決勝で敗退した前橋育英のエース・高橋光成(24、西武)との再戦を心待ちにしているようです」(スポーツ紙デスク)
広島の元監督でソフトバンクのヘッドコーチなども歴任した達川光男氏が語る。
「パの投手は、柳田悠岐(32)のようなパワーヒッターと常に対戦している。柳田にはスライダーなどの変化球は簡単にスタンドに運ばれるため、速いボールとフォークで勝負することが多い。佐藤にも同様の攻め方をしてくるのではないか。佐藤にとって交流戦でパのスラッガーたちを見るだけで勉強になると思う。生きた教科書だと思って試合を楽しんでもらいたい」
柳田も吉田も苦戦?
過去15年の通算成績はパの1102勝に対し、セは966勝。これまでセはパに交流戦でカモにされてきた。しかし、今年のセには阪神の三羽ガラスの他にもパを脅かす新人がいる。佐藤の新人王の最大のライバルとされるDeNAの牧秀悟(23)もそのひとりだ。外国人選手不在のチームで開幕からスタメンで出場し続け、打線の中軸を支えている。
投手が豊作なのが広島だ。ドラ1・栗林良吏(24)は守護神に抜擢されると、開幕から連続無失点の新人最長記録を更新し続けている。広島では他にもドラフト2位のセットアッパー・森浦大輔(22)やドラフト3位の大道温貴(22)も結果を残している。前出・達川氏が語る。
「初対戦が多い交流戦は投手が有利とされますが、特に栗林を初見で打ち崩すのは難しいのでは。真っすぐは速いし、“超一級品”のフォークもある。どの球種もストライクゾーンに投げ込めるのが強み。柳田や現在打率トップのオリックス・吉田正尚(27)などパの強打者もてこずるでしょう」